毒舌君主[十五]
―あの日聞いた話。
いったい志保さんはどういった人なのだろうかとか昭久さんとはどういった関係なのだろうかとか。
聞きたくても聞けない日が続いた。私は変わらず昭久さんの店を手伝いにちょくちょく顔をだしていたし、この変わらない日常が幸せだった。
だけど、終わりの日は近づいていた。嫌な予感はあったんだ。昔から遠足が雨で中止になったりだとか、彼氏に振られるとか。
―嫌な予感だけよく当たる。
「さわるな!」
昭久さんの聞いた事のない怒鳴り声にビクリとなり、私は手にもっていたピンク色のグラスを落とす。派手な音をたてて、グラスは床の上で破損した。
あの日、店の食器を戸棚に片付けていた私は戸棚の奥に大切そうに並べられた色違いのグラスを見つけた。何気なく手にとってみた時に昭久さんに怒鳴られたのだ。
「あ、ご、ごめんなさい!」
いつもみたいに怒られると思ったのに、昭久さんは私の声なんて耳に入っていない様子で床の上に散らばるピンクのグラスの破片をただ見つめていた。
―それから数日後。昭久さんは私の前からいなくなった
続く
いったい志保さんはどういった人なのだろうかとか昭久さんとはどういった関係なのだろうかとか。
聞きたくても聞けない日が続いた。私は変わらず昭久さんの店を手伝いにちょくちょく顔をだしていたし、この変わらない日常が幸せだった。
だけど、終わりの日は近づいていた。嫌な予感はあったんだ。昔から遠足が雨で中止になったりだとか、彼氏に振られるとか。
―嫌な予感だけよく当たる。
「さわるな!」
昭久さんの聞いた事のない怒鳴り声にビクリとなり、私は手にもっていたピンク色のグラスを落とす。派手な音をたてて、グラスは床の上で破損した。
あの日、店の食器を戸棚に片付けていた私は戸棚の奥に大切そうに並べられた色違いのグラスを見つけた。何気なく手にとってみた時に昭久さんに怒鳴られたのだ。
「あ、ご、ごめんなさい!」
いつもみたいに怒られると思ったのに、昭久さんは私の声なんて耳に入っていない様子で床の上に散らばるピンクのグラスの破片をただ見つめていた。
―それから数日後。昭久さんは私の前からいなくなった
続く
感想
感想はありません。