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ナイト・オン・ドラグーン【110】話『消えない怒り』

[188]  みるく  2007-06-04投稿
真紅に染まった空に朱き影が空を切り裂き飛んでいた。


それは呪文のように呟いていた。

滅ビヨ…と。


アデルは炎を吐き出す事を止むことなく飛び続ける。

ニンゲン…我ヲ欺イタ…


我ヲ騙シタ…



許セヌ…


許セヌ…!



咆哮を高く揚げる。

アデルが通った後は既に草木一本生えていない…


…デル!


暴走意識の中に何者かの声が響く。


…アデル!止めるんだ!!


その声は耳からではなく、直接頭に響いている。


アデル、もう止めろ!こんなことしても何も変わりはしない!!

−貴様…何故、我ノ名ヲ…!?

俺だ!レオンだ!


−レ…オ…ン…



思い出したか!?アデル!


−レ…オン…レオ…ン、何故ダ…ソノ名ハ…

思い出そうとする度、アデルの頭が割れそうに痛んだ。

しかし、レオンという名は懐かしさと温かさを感じ取れた。


『レオン…』


朱き竜の動きが止まった。
















それはいつだったか…

『竜』である自分の存在に人々の目が恐れと憎しみに変わったのは…

人々は自分を化け物と呼び、

悪しき魔物と蔑んだ…



ならば、よかろう…

そのように生きよう。


恐れ、害をもたらすならば…牙を剥くだけだ。

刃で裂いてこようならば、鈎爪で刻んでくれよう。

大砲を撃ってくるならば、
焼き尽くしてくれる。

だが、レオンと出会った時から一転してしまった。


この男は自分を必要としてくれた。


哀しみを振り払ってくれたのだ。


そして世界の終わりの時、この男…レオンを生かす為、受けた恩を返す為…自らを犠牲にした。



朱き竜は来た方角を引き返す。



だが、その目にはまだ狂気が映っていた。



−目障りだ!焼き殺してくれる!!

アデルは女神の塔へと引き返す。

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