ヤス#59
ヤス#59
そして、シットが現れた時には母にしがみつかれ、乳房に顔をうずめた。あの時の感触が鮮明に脳裏に焼き付いている。
耳の中がくすぐったい。母が時々、耳の穴を吹いている。ヤスは耳の穴を吹かれる度に体を震わせていた。
桜の花びらが、ハラハラと舞い落ちてヤスの口元に貼り付いた。
純子はそれを取ろうとしたが、しっかりと貼り付いて取れない。
純子は指を舐めて花びらを取ろうとした。
そのとき、純子の唾液で濡れた指がヤスの口元に誤って入ってしまった。ヤスは母の唾液を舐める事になった。
「……………」
「ようやく取れたわ。ふふっ」
純子は何事も無かったかのように耳カキに専念しだした。
「母さん…」
「何?…ヤス」
「あの日事…覚えている?」
「忘れないわ…怖かったわね」
「うん。今となっては怖くもないけど…確かに、あのときは怖かったな」
「サトリとは会えているの?」
「うん。この前、会って話したよ。タットブとかいう物の怪も一緒だった」
「ふふっ。そう…ヤスは特別なのでしょうね…神様の子かしら」
「俺は母さんの子…変なやつらを友達に持っているだけだよ」
「そんな事ないわ…だって」
「だって…何」
「私も…物の怪なのよ」
そして、シットが現れた時には母にしがみつかれ、乳房に顔をうずめた。あの時の感触が鮮明に脳裏に焼き付いている。
耳の中がくすぐったい。母が時々、耳の穴を吹いている。ヤスは耳の穴を吹かれる度に体を震わせていた。
桜の花びらが、ハラハラと舞い落ちてヤスの口元に貼り付いた。
純子はそれを取ろうとしたが、しっかりと貼り付いて取れない。
純子は指を舐めて花びらを取ろうとした。
そのとき、純子の唾液で濡れた指がヤスの口元に誤って入ってしまった。ヤスは母の唾液を舐める事になった。
「……………」
「ようやく取れたわ。ふふっ」
純子は何事も無かったかのように耳カキに専念しだした。
「母さん…」
「何?…ヤス」
「あの日事…覚えている?」
「忘れないわ…怖かったわね」
「うん。今となっては怖くもないけど…確かに、あのときは怖かったな」
「サトリとは会えているの?」
「うん。この前、会って話したよ。タットブとかいう物の怪も一緒だった」
「ふふっ。そう…ヤスは特別なのでしょうね…神様の子かしら」
「俺は母さんの子…変なやつらを友達に持っているだけだよ」
「そんな事ないわ…だって」
「だって…何」
「私も…物の怪なのよ」
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