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航宙機動部隊第二章46

[442]  まっかつ  2007-06-04投稿
スタッフから手渡されたメモを見た男性キャスターは、込み揚がる興奮のままにその内容を告げた。

(ここで様子が一段落したみたいなので再び現場を呼び出しましょう―ジョヴァンナさん、お願いします)
凝視するリクの前で、画像はさっきのテロ被害地を映し出したが、確かに幾分、喧騒や混乱は収まったかの様にも思える。

サイレンを点滅させたままの黒塗りの装甲車を背景に、しかし、女性レポーターは防具を外してはいなかった。

(はい、ええ、私の真後ろに停まった車両の機動狙撃班を中心とした制圧部隊が、いまさっきテロリスト実行グループ全員を交戦の上射殺したとの一報が入りました)

(ジョヴァンナさん、被害はどの程度出たのでしょうか?)
男性キャスターの質問に、彼女は手に持つ有機光媒ボードに目をやって、

(現在ここオストレ=スタジアムは爆弾テロに始まるパニックによって、事態の収拾がままなりません―よって今だ具体的な死傷者等の被害状況の把握は出来ていない模様です)

(ジョヴァンナさん―これは星間諸侯太子党の仕業と言う可能性は有りますか?)

(それも分かりません―ただ、それと併せて当局は帝国側の工作の恐れも有ると警戒を強めています―ただいま被害状況の概数が入りました!現地警察からテロップ標示が流されます!)

【死者約6600名・・・負傷者約17000名・・・行方不明約1300名・・・】

画像の下方に現れた数字を見て、リクは愕然となった。
僅か一時間でこれだけの人命が失われたのだ!
更に、不幸な報告は続いた。
悲痛の度を強めながらジョヴァンナは

(このライヴ会場襲撃により、中央域方面から来た女性タレントヴォーカルが重傷を負い、蘇生措置の甲斐なく搬送先の病院で亡くなったとの事です。彼女は最外縁でのライヴを通じて現地の人士と中央域との交流を深める架け橋になるべく、つい先日この星に降り立ち…)
衝撃に満ちた事実を話出したのだ!
『ま…まさかっ!!』
それを聞く内に両手を載せた唐机がカタカタと音を立て始めるのに、少年は気付かなかった。
気付いたのは、テロップに出た六六00名の中に、自分の同胞が入っているかどうかを確認しなければならないと言う、非情にして険悪な事実だった。
震えが止まらないままの手で、リクはテンペの番号に通話をかけた。

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