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鬼神

[360]  夢見大  2007-06-04投稿
「昔々も大昔、日本には鬼がたくさんいた。山奥、河原に、洞窟に。そんな鬼達にもお頭がいたんだ。それが、鬼神よ!
そんなお頭は、腕っ節も頭も強いが、情には弱い!悪さをしたら人間なんざいちころよ。おいらも会ったら、秒殺さ。なんてったっておいらうるさいからね〜。そんな、お頭が人間の小娘に恋をする!
さ〜、さ〜、おいらの新作『鬼神』を楽しんでくれぃ!」
こんなふうに大騒ぎしている男の名前は、作家の大神相太。自分の作品が出たら、相太が贔屓にしているいくつかの本屋の前で作品の紹介をしている。もちろん、店主に許可をとっている。
僕は、相太の甥だ。呼び捨ての理由は、叔父さん自身に
「相太って呼んでくれぃ」と、いつもの調子で言われたからだ。
僕は、相太の本も相太も好きだ。相太の本も面白いし、相太自身の話も面白い。作品が出るたびに、僕に本を送ってくる。今回相太は、僕にどこの本屋で、いつ演説をするかを教えてくれた。
そして、今に至る。相太は本を買ってくれるお客さん全員に、ボールペンを渡す。意味は、相太いわく「なんとなく!」だそうだ。僕は相太に手を振った。相太も僕に気付いて、にっ、とした。
僕は、相太の新作の「鬼神」を買うために列に並んだ。続

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