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らぶふぁんとむ4

[191]  あこん  2007-06-05投稿
恵一がディスプレイを確認すると、電話の主は親しいクラスメイトだった。
「もし?」
『あ、恵一かい?』
これは恵一以外の誰のものでもない携帯電話だが。
「なんだよ、孝太。」
電話の主、日村孝太は真剣な声音で続ける。
『隣りのクラスの宮田珠希さん、知ってるかい?』
「…あ、あぁ。」
珠希を見ると、窓を開けようと奮闘している所だった。窓枠を手がすり抜けてしまっているが。
『…へぇ、恵一知ってるんだ。で、彼女が昨日転落死したみたいで、今朝見つかったんだ。』
(今朝まで見つからんかったのか。)
『僕は去年同じクラスだったから少しは知ってるんだけど、驚いたね。去年の連絡網まで回ってきたもの。』
「そうなのか。」
『お葬式、あるみたいだよ。恵一はどうする?』
「…俺はいいや、同じクラスだったことは無いし。」
『…そう、じゃ月曜にね。』
一言、二言会話を交わして通話を切った。
恵一が窓の方を見れば珠希の姿は無い。
「ありゃ?宮田?」
「はーい。」
ずぶぶ、と珠希の頭が床から生えてくる。否、階下から床をすり抜けてくる。
「…器用な事を。」
「そうでもないです。ところでさっきの電話、日村くんですよね?」
「あぁ、お前の身体が発見されたって。」
死体、と言うのは憚られた。
「あ、思ったよりも早かったですね。」
「そうか?帰りが遅くなったら家族が心配するし夜中には見つかると思うが。」
「いえ、私親とかいないですから、月曜まで誰にも不審に思われないと思ってたんですけど。」
またも恵一は失言をしてしまったらしい。
「あ、身寄りが無い人の葬儀って誰があげてくれるんでしょう。」
しかし珠希は気にした様子も無い。
「…さぁな、孝太は今夜やるみたいなことを言ってたけど。」
「…名前。」
「うん?」
「名前いいなぁ!」
「うわ!?」
恵一が孝太と呼び捨てる事に注目した珠希はずいっ、と詰め寄る。
「同居することですし、名前で呼び合いましょ、恵一くん。」
「…。」
とりあえず黙っておく事にした恵一だった。

「恵一くん、家はこっちじゃないでしょう?」
夕方が近付き、珠希を連れ添って卵その他を買いに出た恵一は、学校に向かって歩く。
だが目的地は学校ではなく、ちょうど家との中間辺り。
道路の端に、幾つかの花束が置かれていた。

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