毒舌君主[十七]
由香里は約束の場所にいた。少し遅れて修がやってきた。
「懐かしいね。初めて会った場所だ。」
修は独り言の様につぶやいた。
由香里は思い出していた。修と、そして昭久に出会ったあの日を。思わず由香里の顔に笑みがこぼれる。
「…俺、由香里ちゃんに言ったでしょ?『昭久は無理だ』って。だけどさ、由香里ちゃんと一緒にいると昭久がすごく楽しそうだったんだよ。段々、昔みたいに笑う様になっていって……だからもう大丈夫かもしれないって思ってたんだ…」由香里は黙って修の話に耳を傾けていた。
「…だけど、だけどあいつは志保との約束を果たそうとしてる。いつまでもあの約束に縛られてたんだ。
約束を終えたらあいつ」
修の言葉が途切れる。
重い沈黙の後、修は口を開いた。
「―全部、終わりにする気だ」
驚いて由香里は修の顔を見る。逆光のせいでその表情は読み取る事が出来なかったが泣いている様に見えた。
―修は、少し間を置いてから続けた。
「…昭久と志保の話をしようか」
続く
「懐かしいね。初めて会った場所だ。」
修は独り言の様につぶやいた。
由香里は思い出していた。修と、そして昭久に出会ったあの日を。思わず由香里の顔に笑みがこぼれる。
「…俺、由香里ちゃんに言ったでしょ?『昭久は無理だ』って。だけどさ、由香里ちゃんと一緒にいると昭久がすごく楽しそうだったんだよ。段々、昔みたいに笑う様になっていって……だからもう大丈夫かもしれないって思ってたんだ…」由香里は黙って修の話に耳を傾けていた。
「…だけど、だけどあいつは志保との約束を果たそうとしてる。いつまでもあの約束に縛られてたんだ。
約束を終えたらあいつ」
修の言葉が途切れる。
重い沈黙の後、修は口を開いた。
「―全部、終わりにする気だ」
驚いて由香里は修の顔を見る。逆光のせいでその表情は読み取る事が出来なかったが泣いている様に見えた。
―修は、少し間を置いてから続けた。
「…昭久と志保の話をしようか」
続く
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