僕の声が聞こえるまで?
公園の真ん中に設置された光が優羽ちゃんの小さな体を照らしていた。僕の気配に気付いたのか優羽ちゃんはゆっくりと顔をあげた。言葉を交わす事ができない僕達は、はたから見るとどんな感じなんだろうかなどと気にしていたりもした。優羽ちゃんは木の枝を持ち、地面に【来てくれてありがとう】と書いた。僕は横に首を振った。優羽ちゃんの頬は涙が流れた筋がいくつもあった。僕はその時ドキドキしていたはずだ、女の子とまともに話す事すらできないくせに、気が付けば優羽ちゃんの白い手を包みこむように握っていた。 優羽ちゃんは心の声を話した。聞き取るのが精一杯な赤ちゃんの喃語のような言葉が僕にはちゃんと伝わった。【やっぱり耳が聞こえないの、みんな迷惑かな】初めて見る弱気な態度が愛しく思えた。地面に優羽ちゃんの涙の粒がいくつも落ちた。まるで地面が涙を吸いとっているようだった。いつも明るく笑い、人に同情される事が嫌いだという彼女でも背負った障害から解放される事はないと、それは影のようでもあった。僕は彼女の痛みが心で伝わったような気がした。その日何があったなんて聞く勇気はまだ僕にはなかった。ただ優羽ちゃんの手を包みうなずく事しかできなかった。
感想
- 312: 最後まで頑張ってねっ(*゜▽゜)応援してんでo(^-^)o [2011-01-16]
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