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殺し合いごっこ‐LAST CHAPTER‐16

[659]  龍角  2007-06-08投稿
その質問に誠と呼ばれた青年は冷たく笑って答えた。
「タイプじゃないから。
以上。」

両者の瞳が緑色に染まり、鈍い金属音が鳴り響いた。
黒い刃を赤い腕がガードする。

そして男はストレートを食らわせようとしたが拳は空を掻く。

誠は瞬間移動して背後から男に切り掛かる。

しかし男はしゃがんで嶄撃を避けて立ち上がりながら誠にアッパーを食らわした。


誠は5メートル程空中に殴り飛ばされた。

男は跳び上がり、誠の首を掴んだ。
誠の右手から刀がこぼれ落ちた。

男は首を掴んだまま誠をアスファルトの路面に頭から叩き付けた。

路面は誠を中心に放射状の亀裂が走った。

「終わりだ。」

男はそう言うと誠の頭を掴んだ。

ボキボキという男がした後、アスファルトに真紅の華が咲いた。


司令部を失った身体はピクリとも動かない。

「意外と弱かったな。」

そう言うと男は腕を元の人間の腕へと戻した。

瞳も茶色に戻した。






ズブ・・・






鈍い音が男の身体を走った。




男は唖然とした。

自分の腹から赤黒い刀が飛び出している。


そして目の前の死体はスウッと消えていく。

「なんだ…これ…幻覚だと…?こんな卑怯な…」

後ろから冷たい誠の声が聞こえてきた。

「兵は詭道なりって良く言うだろ? 相手が人間で無いのなら尚更だ。」
「何故…?
こんな…能力を…?」

「俺自身は認めたく無いが俺は摩羅に最も愛された者。
与えられた能力も半端じゃ無いって事だ。」

そう言うと誠は刀を左右にスライドさせて男を真っ二つに切断した。

ブチッ、ボキっと気持ち悪い音と肉を切り裂く感触が刀を通して誠に伝わる。

上半身がボトっと崩れ落ちたあと、下半身も後を追う様に倒れて行く。

切り口から生々しい内臓が飛び出している。


誠はその死体を携帯のカメラで納めて、一台も車が通らない道を歩き始めた。


歩道には1月だというのに色とりどりの花が咲いている。

暖かい南房総ならではの心休まる光景だ。

そしてその側には数匹の漆黒のカラスが男の死体を啄んでいた。

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