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続3 両手 掴み取る何か

[301]  2007-06-08投稿
あたしがあたしを元に戻らない様にするためか何もかも消し去りたかったのか、刑事の手の温かさを頭に感じながら泣き続けた。
どの位時間が経ったのかわからないが枯れない涙はないと知ったあたしは枕元のティッシュで顔中拭いた。涙か鼻水か涎かわからないほど悲惨な顔を見ても刑事は何事もない様な顔でいたのは今でも覚えている。
「正直に話せるか」あたしに他人でありながら人の温かさを教えた刑事は真っ直ぐに聞いてきた。
こんな風に聞いてきた警察の人は初めてだった。
今回も近所の誰かが見かねて、聞くに耐えなくて通報したに違いない。
日常茶飯事な痴話喧嘩で警察が出動報告書を書いた数えきれない程の回数で家の前には赤色灯が停まった。
一度だけ助けて欲しくて警官にすがったことがあった、何も言わず制服を掴む小娘の悩みなど迷惑かのように黙ってしかももう二度と触るなと冷たい目で一別したあの目を忘れてない。
一度折れた骨が前より丈夫になるように壊れたあたしはとびかかることは出来なかったが壊れる前より心にバリケードを一瞬のうちに張った。
あの警官の冷たい目を目の前の刑事もするかもしれない。
叔母らしき女性が言った犯罪者と言う言葉も後押しした。
「何も言いたくない」
あたしはあたしの生傷を増やしたり深くしないことを選んだ。
もう嫌だった、散々だった。あたしの中の膿を溜める壺は表面張力を規則通り守り耐えきれなくなって溢れ出していた。
この時からあたしの牙は自分自身に向くことになる。

感想

  • 7267: ジャンルが違うよ [2011-01-16]

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