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雨の日に・・

[397]  頭腐  2006-02-28投稿
雨が降っている。残業で疲れきった体に冷たい雨が追い打ちをかける。手には冷えきったコンビニ弁当。別に急ぐ用事もない、暗い道を暗い部屋に向かって歩くだけだ。同じ様な毎日、けどその日は少し違った。 それは突然だった。微かな音、それと同時に手に持っていたコンビニの袋が裂け弁当が地面に落ちた。驚きそれをみる。視線を上げるとそこには薄汚れた犬が一匹。こっちを見ている、その犬が小さく吠えた・・襲ってくるそう思った。 しかし2・3歩走ってきた犬は力なくその場に倒れこんだ、よく見るとひどく痩せ細く息をしている。 ほおって置いても死んでしまうだろう。振り返り落ちた弁当を拾って、また暗い道を歩きだす。足を止め後ろを振り返る、犬は同じ所で横たわっていた。 ふらふらと近づき犬に触れた、ごわごわした毛が冷たくなってゆくのがわかる。食べれるとは思えなかったがそっと弁当を差し出し暗い部屋に走った、その日は一睡もせず朝を向かえた。 次の日、仕事に向かう道。犬はいなかった・・・とぼとぼとうつむき歩きだす。かよいなれた道、ふと顔を上げる・・・。空き地から声が聞こえた、誘われる様に柵を乗り越え、今にも崩れそうな土管を覗き込む。 そこには雨に濡れ、鈍く光る空のコンビニ弁当と子犬が3匹、昨日の犬は子犬を守るように死んでいた。 子犬は歌うように泣いていた。空を見上げる・・。その日は昨日の雨が嘘の様に晴れていたが僕は泣いた。

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