毒舌君主[十九]
「…でもね、そんな二人もいつしかすれ違いはじめた」修の目はすごく哀しそうだった。
「昭久は、志保のためになるべく病院の近くに部屋を借りて、店もその近くに開いた。だけどやっぱり忙しくて会えない日も多くなっていった。昭久は志保との約束を早く叶えてやろうって躍起になってた。それが裏目にでたんだ…」
―あの日、病院に見舞いに行った昭久。志保は、体調が優れないせいもあり、昭久にやつあたりしてしまう。
「…何しにきたの?私の事なんかもうどうでもいいんでしょ?」
「は?何言って…」
「昭久はずるい…!さっさと一人で夢叶えて!あの約束だってただの気休めじゃん!私の病気治る訳ない…どんどん悪くなってる…。同情なんていらない!
…もう会いたくない。
もうここには来ないで…」二人の間に沈黙が流れる。先に口を開いたのは昭久だった。
「…そっか。わかった」
志保はハッとし、昭久の顔を見る。
昭久は真っすぐに志保を見つめ、言った。
「…お前がそう望むなら俺はここには来ないよ。だけど志保には失望した。そんな根性ねぇやつの病気なんて良くなるわけねぇーよ。…お前みたいなやつ、大嫌いだ」
昭久の頬に一筋の涙が流れる。志保を傷つける様な事をわざと言い、何倍も自分が傷ついていた。志保は昭久を止める事ができなかった。
―その日、志保は病院の屋上から飛び降り、自らの命を絶った。
続く
「昭久は、志保のためになるべく病院の近くに部屋を借りて、店もその近くに開いた。だけどやっぱり忙しくて会えない日も多くなっていった。昭久は志保との約束を早く叶えてやろうって躍起になってた。それが裏目にでたんだ…」
―あの日、病院に見舞いに行った昭久。志保は、体調が優れないせいもあり、昭久にやつあたりしてしまう。
「…何しにきたの?私の事なんかもうどうでもいいんでしょ?」
「は?何言って…」
「昭久はずるい…!さっさと一人で夢叶えて!あの約束だってただの気休めじゃん!私の病気治る訳ない…どんどん悪くなってる…。同情なんていらない!
…もう会いたくない。
もうここには来ないで…」二人の間に沈黙が流れる。先に口を開いたのは昭久だった。
「…そっか。わかった」
志保はハッとし、昭久の顔を見る。
昭久は真っすぐに志保を見つめ、言った。
「…お前がそう望むなら俺はここには来ないよ。だけど志保には失望した。そんな根性ねぇやつの病気なんて良くなるわけねぇーよ。…お前みたいなやつ、大嫌いだ」
昭久の頬に一筋の涙が流れる。志保を傷つける様な事をわざと言い、何倍も自分が傷ついていた。志保は昭久を止める事ができなかった。
―その日、志保は病院の屋上から飛び降り、自らの命を絶った。
続く
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