毒舌君主[二十二]
昭久がいなくなって半年が過ぎた。由香里と修も昭久という接点がなくなった以上、会うこともなかったし、みんなバラバラのいつもの生活に戻っていった。
―昭久は最後の国にいた。水色のグラスと志保の写真と共に。志保が行きたいと言っていた国はすべてまわったはずだ。
昭久は志保の写真に向かって、優しくほほ笑んだ。
「…後、少しで全部終わる。待ってろよ、志保…」
―数日後、昭久は自宅のあるマンションの屋上にいた。
全てを終わらせるならここがいいって決めていた。
本当は志保と同じ場所が良かったが、志保が自殺した事により、あの場所は立入禁止になってしまった。
昭久は、水色のグラスを手からすべらせる。
当然の如く、グラスは破損した。破片がそこら中に飛び散る。
いつかの自分の言葉を思い出す。
―もし片方が壊れることがあったらもう一方も粉々に壊すからよ
自嘲ぎみに昭久は笑みを浮かべる。
「…おそろい、だろ?」
そう言って金網に手をかけようとした時…
「まって!!」
女の子の声が響いた。
続く
―昭久は最後の国にいた。水色のグラスと志保の写真と共に。志保が行きたいと言っていた国はすべてまわったはずだ。
昭久は志保の写真に向かって、優しくほほ笑んだ。
「…後、少しで全部終わる。待ってろよ、志保…」
―数日後、昭久は自宅のあるマンションの屋上にいた。
全てを終わらせるならここがいいって決めていた。
本当は志保と同じ場所が良かったが、志保が自殺した事により、あの場所は立入禁止になってしまった。
昭久は、水色のグラスを手からすべらせる。
当然の如く、グラスは破損した。破片がそこら中に飛び散る。
いつかの自分の言葉を思い出す。
―もし片方が壊れることがあったらもう一方も粉々に壊すからよ
自嘲ぎみに昭久は笑みを浮かべる。
「…おそろい、だろ?」
そう言って金網に手をかけようとした時…
「まって!!」
女の子の声が響いた。
続く
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