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MURASAME

[511]  あいじ  2007-06-10投稿
鬼門?

可王京介が弾かれたように飛び出した。幸司は迫り来る小鉄の凶刃を羅喉の刃ではらった。
「…らぁ!」
幸司の刃が闇に舞う。しかし可王が小鉄を回し、その斬撃を受け流した。幸司は追撃の手を緩めず胴を狙い一気に薙払った。可王は後ろへ下がると嬉しそうに笑みを浮かべた。
「強くなったな…どれ、褒美に面白い物を見せてやろう」
可王は腰に下げている三本の刀のうちもう一本を抜いた。
「こいつの名は正宗。小鉄と共に魔剣と称される名刀よ。戒金剛によって撃ち造られたお前の羅喉ですらその敵ではない…」
可王が剣を構える。幸司の体に緊張が走った。しばらくの沈黙が流れる。
「がぁ!」
凄まじい雄叫びを上げ沈黙を破ったのは幸司だった。羅喉を振るい、可王の首めがけて一気に薙はらった。だが、可王の右手に持たれた小鉄の刃が羅喉の刃を弾き、左手の正宗が虚空を舞った。
「がッ!」
幸司の腹が斬り裂れ血が流れ落ちる。だが、彼は一瞬で後ろに仰け反りその斬撃をかわした。
(これが…修行中には見せなかった師匠の剣…)
幸司は腹を押さえ感触を確かめた。ねっとりとした生暖かい血の感触が指先を支配する。
(切っ先が触っただけでこの切れ味…まともに受けたら羅喉ごと俺の胴体まで真っ二つだ…)
可王の凶刃が幸司に迫った。幸司は羅喉を地面に叩きつけるとその衝撃で空を舞い剣撃を逃れた。
幸司はその態勢から羅喉を突き立て幾重にも重ねた斬撃を可王に浴びせた。可王は反転し小鉄の盾に攻撃を防いだ。
「ふん!」
正宗が幸司の斬撃の隙を突き、足に深々と食い込んだ。
「ぐぅ…。だったら!」
幸司が距離をとり羅喉を高く掲げた。
「羅殺剣!」
羅喉の刀身が砕け、光の刃が天へ向かって伸びた。
「ふふ…羅殺剣か。どれ程のものか見せて貰おう」
可王は小鉄を高く掲げた。すると小鉄の刀身に光が集まり膨張する様に広がった。
「羅殺剣」
二つの刃は同時に大地へ叩きつけられ、その衝撃に大地が悲鳴を上げた。

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