ヤス#64
ヤス#64
目が見えない。
純子は手探りで土間まで這っていった。居間に上がると、隅の方で小さくなって震えていた。
何やら気配を感じた。純子はひるんだ。シットがやってきたのかもしれない。
だが、それは直ぐに安堵に変わった。
ハヤトだった。ハヤトが濡れた毛ですりよってきた。純子はハヤトを抱き寄せて、ヤスの無事を祈った。
雨音がザーッという音から、ゴーッという音に変わった。
遠くでサイレンが鳴っている。
島の男達がけたたましく叫びながら、路地を港に向かって走り去って行く。
純子の心の中に塊のような不安が湧いている。ヤスの事が心配だ。夫と爺さんの事も気がかりだった。再び、凄まじい落雷が起きた。
「ひぃー!ヤス!ヤス!」
勝手口の引き戸が開いた。
「母さん!」
「ああ…ヤス!無事だったの?ヤス!」
「母さん!どうしたの?」
「ああ…雷が落ちてね…光で目をやられたみたいなの…」
「何て事だ…待っててね…タオルと水を持ってくる」
ヤスは居間に毛布を敷いて純子を寝かせると、冷やしたタオルを絞って純子の目に宛てた。ハヤトが純子の枕元で丸くなって首を上げていた。
目が見えない。
純子は手探りで土間まで這っていった。居間に上がると、隅の方で小さくなって震えていた。
何やら気配を感じた。純子はひるんだ。シットがやってきたのかもしれない。
だが、それは直ぐに安堵に変わった。
ハヤトだった。ハヤトが濡れた毛ですりよってきた。純子はハヤトを抱き寄せて、ヤスの無事を祈った。
雨音がザーッという音から、ゴーッという音に変わった。
遠くでサイレンが鳴っている。
島の男達がけたたましく叫びながら、路地を港に向かって走り去って行く。
純子の心の中に塊のような不安が湧いている。ヤスの事が心配だ。夫と爺さんの事も気がかりだった。再び、凄まじい落雷が起きた。
「ひぃー!ヤス!ヤス!」
勝手口の引き戸が開いた。
「母さん!」
「ああ…ヤス!無事だったの?ヤス!」
「母さん!どうしたの?」
「ああ…雷が落ちてね…光で目をやられたみたいなの…」
「何て事だ…待っててね…タオルと水を持ってくる」
ヤスは居間に毛布を敷いて純子を寝かせると、冷やしたタオルを絞って純子の目に宛てた。ハヤトが純子の枕元で丸くなって首を上げていた。
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