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守護の青花‐1

[510]  龍角  2007-06-10投稿
朧月はぼんやりと寝静まった住宅街を照らしている。

初夏の風は生暖かく、その黒い服の男の長い銀の髪を靡かせた。


物音は男が立てるさびしい足音のみ。


彼は立ち止まり、マッチで煙草に火を点けた。


その煙草の煙は青く光り輝いていた。


そして煙は闇を切り裂く様に前方へと伸びて行く。


煙草が指し示した道を男は再び歩き始めた。


複雑な住宅街を縫う様に歩く事、十分。


煙はある家の目の前で途切れていた。


表札には『高山』と書いてある。




男はまるで忍者の様に空高く跳び上がり、二階のベランダへと着地した。

男は網戸を音を立てない様に静かに開けて中へと入った。


薄暗い部屋は女の子の部屋の様で、今話題の女性歌手のポスターやCD、女性ファション誌などが置いてある。


そしてその部屋の主はベットで蹲り、呻いていた。


「嫌だぁ…そんなの…私は…」


男は直ぐさま彼女の横に移動した。

彼女は呻いていて、手足は震えている。


額は汗でビッショリと濡れている。

「やっぱり…重症だな…」




男はそう呟くと、彼女の震える小さな手を握り、彼女の耳元でこう呟いた。


「安心して。
助けに来たよ。」

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