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航宙機動部隊第三章・2

[438]  まっかつ  2007-06-13投稿
銀河元号二一八八年【パレオス建国暦四0七年】新年期第六日・六時―\r
パレオス首都星ティヴィタヴェキアは、人類共通の故郷・太陽系第三惑星・地球の丁度二倍の大きさを持ち、その公転周期は標準暦で五五九.一一五七日・自転周期は六0.三八二時間と、見事なまでにずれまくっている。
これで生態系が異常を来たさないか、心配されてもおかしくない筈なのだが、当然にも変異・適応を経てこの星の環境に合わせて進化した種も多数有ったが、柔軟かつしたたかさに余念ない生命力の勝利の実例が積み重ねられて、持ち込まれた種の原形は保たれていた。
勿論、スパンを万年単位まで伸ばせば、人知を越えた生物達の宝庫と化しているのかも知れないが…
そして、人間に至っては、より多大な合理性、見方によっては非合理性を発揮して、銀河中どこへ行っても一日二四時間・三六五日で一年・端数切り捨ての修正太陽暦を律儀にも守り通しているのだった。
パレオスとて例外でないのは、言うまでもない。
それでも、この日の早朝は実に地球的ではあった。
西から姿を現す恒星パレオスの曙光が、空を水色に、大地を白く染め上げながら前進し、大気を清め、爽やかなそよ風をもたらす。
今日は、或いは今回の自転一サイクル分は晴天に恵まれそうだった。
だがそれは、そこに住む人々の心まで爽快に出来た分けでは無かった…
同星の中枢シテ市の空の玄関・ロンバルディア航空宇宙港は、昨日の大規模テロの影響で厳重な警備体勢下に有ったが、そこから離陸した六機の旅客航宙機に対してのセキュリティ対策に至っては更に輪をかけたオーバー振りだった。
直前に搭乗者全員の席次をランダムに替えてしまい、遥か上空の連合艦隊から応援を呼び寄せ、完全武装の兵士を各機体毎に一個分隊も乗せ、護衛の戦闘艇六0の大群が外を取り囲み、挙句の果てには衛星軌道に配置された防宙巡洋艦一隻・駆逐艦四隻からなる艦隊が、万一に備えて警戒に当たっているのだ。
ここまで来るともう病的と言う他ない。
だが、それも仕方が無かった。
旅客航宙機が運ぶのは、最外縁征討軍に加わった各国公人組だったのだから―\r
今だ首謀者が分からないテロの二次・三次攻撃の恐れあるティヴィタヴェキアから、半ば緊急避難的に艦隊に戻ろうとする彼等から犠牲が出れば、戦わずして合衆国側は負けてしまい兼ねないのだ。

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