黒い天使 白い悪魔 ?
『カラーンコローンカラーン…』
僕はその日ずっと、彼から目を逸らし続けた。
見たいような見たくないような…
彼からの視線は、僕をそんな何とも微妙な心持ちにさせた。
そうして数日が過ぎた。
その頃には僕はもう、彼の視線にビクビクすることも無くなった。
むしろ心地好ささえ感じ始めていた。
そして
+ + +
「なぁルイ。転校生のことサ…どう思う?」
「あぁ…『変わった人』かな。」
「ん〜…なーんか、取っ付きにくいというか…お前ん時はサ、すぐ仲良くなれたんだけどなー」
「単に性格が合うかどうかじゃない?」
「そぉかぁ?あいつ、なーんか、暗い?空気が?だけどその点お前は…」
大抵一緒に帰る友達、ジョン・ブラッドレイ。
「じゃあ明日宿題見せてな〜」
「…考えときます。」
手を振り別れる。
ルイが居候しているマリアの家は丘の上にある。
その坂道の真ん中ぐらいに。
あいつが居た。
「ルイ・カストゥルーデっていったっけ?」
「何か用でも?」
そう言うと、少年は文字通り、にやりと笑い、
「カストゥルーデってさ、天使の名家でしょ?…人間に化けて一体何やってるのさ?」
やっぱり、気付いていた。
「そういうあなたは、どうなんですか?ここはあなた方悪魔にとって、少々明る過ぎるんじゃないですか?」
「そんな事もないさ。むしろ、気持ち良いくらいだよ。」
「奇遇ですね。僕もです。」
数秒間、睨み合う。
「ぷっ」
「あははははっ」
「ホント、何で何から何まで一緒なワケ?」
くっくっくっ…歯を剥き出して笑うニード。
「そんなの、僕には解りかねます」
涙を拭きながら可笑しそうに、ルイ。
天使と悪魔が共に笑い合う。
奇妙な、けれど暖かい風景。
(悪魔って、こんな奴だっけ?)
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