携帯小説!(PC版)

再生

[965]  坂本一義  2007-06-13投稿
なかなかいい物件がなく迷っていた、アパート、マンション、借家、朝から彼女と二人、不動産屋 に行きいろいろ見せてもらったが、どうも納得できる部屋はなく諦めかけていた。不動産を後にして彼女と家に帰る途中、モデルハウスの展示場があった。彼女が一度行ってみたいと言い出し、僕ら見てみる事にした。中に入ると様々な家が立ち並び、そのうちの一軒を見る事になった。彼女は不動産屋に許可をとってビデオカメラで中を撮っていた。二階建ての洋風な造りで真新しい匂いがしていた。御自由にどうぞ!って言う言葉に僕らは撮影して帰った。その晩、僕ら撮影したビデオを見る事にしたが、彼女は疲れたのか、僕の膝の上に頭を乗せ寝てしまった。仕方なく一人で見る事にした、テレビにセットし再生した。
玄関を上がる僕の姿から始まっていて、キッチン、リビング、風呂場と様々よく撮れていた。カメラは僕の姿以外にいろいろと撮っていた。その映像の中に一人の女の子が写っていた、家族で来ていた人も多かったので、どこかの子供が居てても不思議じゃなかった。カメラが二階に上がる僕の姿を撮った映像が出るまでは…二階に上がる僕を上から見ている、さっきの女の子がいたのだ、あの階段を上がる時、つまづいたので覚えていた。確かにそこには、誰もいなかったのだ、映像は僕がつまづくシーンだった、僕はそのシーンを見て青ざめた。つまづいた原因がそこに写っていた、それは僕の足をあの女の子が掴んでいたのだ…
怖くなった僕は慌ててビデオを止めた。冷や汗が留まらないし、寒気が泊まらない、僕は汗を拭いテレビの画面に目をやると真っ暗な画面に反射して僕の顔と後ろに立つ人の姿が…声がでない…恐怖に支配されてしまった。画面を通して近付くのがわかる。俯き加減の女の子の姿が…そして僕の後ろに来た時女の子は顔を上げた。その顔はとても綺麗な顔立ちで、瞳は安らぎを与えてくれるほど…僕の頭の中で声が聞こえた…「会えたね…」

寝息をたてる彼女を膝に僕の魂は消えてなくなった…。

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