ナイト・オン・ドラグーン【113】話『背徳の黒』
空に走った亀裂は一瞬にして拡がる。
始まった、と口にしたレグナに問い掛けようとしたが皆無に終わった。
『空が…割れて…?』
硝子を壊した時の甲高い音が響き渡る。
破片となって空が崩れ落ちる。
『どうゆうことだ!?空が墜ちて…』
先程からうずくまっていたマナに声をかけるが応答がない…
『マナ…?』
虚ろな眼差しのままマナは何かを呟いていた。
『赤い空……』
崩れ落ちている空の上に赤い空間が覗いていた。
『燃ゆる天空…闇の軍勢…異形の存在…』
『リリーナ…それは一体…』
愕然と言うリリーナを見遣る。
全てが剥がれ落ち、青が赤になった空を見上げた時だった。
『小僧!すぐに飛び立つ!!』
レグナが吠える。
わかった、と頷く。
『リリーナ!レグナに飛び乗れ』
『あ…うん。わかった!』
『マナ!?行くぞ!…マナ?』
彼女の手を引くがマナは動こうとしない…
ただ脅える目でこちらを見つめてくる。
『小僧、どうした!?急がなければ”奴ら”が来る』
奴らという言葉に疑問は感じなかった。
既に赤い空には何か異なる生物達がこちらへと飛び交っているのだ。
もう一度マナの手を引くがやはり彼女は少しも動じない。
『赤い空…いや…だって…あれは…みんな死ぬ…死んじゃう…』
舌打ちをしアインはマナを強引に抱き抱えた。
『世話が焼ける!しっかりしろマナ!!』
そのままレグナへと駆け寄り、一気に地上から離れた。
『マナ…どうしたの?』
心配気な顔のリリーナがアインの腕の中で泣きじゃくるマナを覗く。
『わからない…様子が変なんだ…』
そのやり取りを無視するかのようにレグナが口を挟む。
『小僧、”ある場所”へ向かう。』
『ある場所…?』
『この崩れかけている世界を救うことが出来る場所だ』
そう言ったレグナは翼を広げさらに高く舞い上がった。
『我らの血の記憶が教えてくれるのだ…』
静かにそうつぶやいた。
そして、アインは気付く。
レグナにも異変が起きている事を。
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