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らぶふぁんとむ16

[188]  あこん  2007-06-16投稿
コンクリートの屋上は、非常に暑い。
そんな暑い中、珠希は恵一に文句を言い続ける。幽霊に汗腺など無いだろうが。
「恵一くんはなってません。私というものがありながら、他の子に目が行くだなんて。」
(うぅーむ、暑いぞ。)
「あぁ、もしかしてああいう子が好きなんですか?」
恵一は熱に耐えるので精一杯。珠希の言葉を聞く余裕は無かった。
そんな中、校舎から間延びしたチャイムが鳴る。昼休みに入ったらしい。
「いいですか?私が正妻という事を忘れなく…。」
そんな事は構わず未だに珠希は喋り続ける。
恵一が適当に話を切ろうとした時、屋上に人の来る気配がした。
「…あ、ここにいた。」
珠希が嫌そうな顔をする。
その人物は八夜みこ。恵一が屋上で熱射病になりそうになっている発端の少女である。
「…暑くないの?」
「暑い。もう汗も出切った気がする。」
「…体に悪いから、こっち来た方がいい。」
みこは恵一の腕を引っ張り校舎の中へ連れて行く。
勿論珠希はいい顔で無い。
自分の話を聞かず、みこの言葉にはすぐに反応して見せたのだから当然だろう。
「…大丈夫?」
ちょうど風の通り道になる場所に連れてこられた恵一は、座り込んでみこを見上げた。
「…具合悪い?」
心配そうに困った顔をするみこに、何を言っていいのかわからず視線を逸らしてしまう。
「あーぁ、青春なんかクソくらえ。」
その隣りでかなり凶悪に顔を歪めた珠希が毒づく。
「あはは、八夜、もう大丈夫ありがとう。しばらく一人にしてくれないか?」
「…無理してない?」
なおも心配そうなみこに手を振る恵一。
みこが見えなくなってから珠希に振り向く。
「言葉が悪いぞ、タマ。」
頬を引きつらせ、咎める。
「…。」
珠希は再び無言の人となる。
(ったく、なんなんだよ。嫉妬にしてもひどいぞ?)
そもそも、恵一はみこの事を殆ど知らない。
ちょっと話した程度でこうも不機嫌になるのなら、日常生活を送れないではないか。
恵一はそんな様な事を考えながら珠希を見る。
珠希はといえば、かなり真剣に何かを考えている様であった。
不穏な空気を感じながらも、恵一は何も言う事が出来なかった。
ここまで黒いオーラを放つ珠希を見るのは初めてだったから。

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