眩しい微笑み10
目覚めた僕が一番最初に見たのは、最後に見たのと同じ白い天井で、体を起こすとミサキさんがいた。
「あ・・・どうも」
まだ胸の奥がもやもやしていた僕は妙な挨拶をしてしまった。
しまった、また殴られるかも。
でもそんな考えは杞憂でミサキさんは息を小さくはいて、帰りましょ、と言った。
帰り道、まだ僕の心はもやもやしていた。
僕は「もや」の奥にある「答え」を探していた。
見つかった答えは−−−−−
「あ、あのさリク・・・」
ミサキさんが小さな声で話しかけてきた。
「今日は・・・あの・・・ご、ごめ「いやー、すごかったですね、ミサキさんのアッパー」
ミサキさんの声を僕は掻き消して続ける。
もう、止まらない。
「あのパンチなら世界が狙えますよ」
「あんなパンチをするほど僕のこと嫌いなんですね」
「ミサキさんはこんな地味な男なんて嫌いでしょうけど、ああやって改めて確認させられると結構ショックです」
ミサキさんが何かを言っている。でも僕はそのまま続ける。
「あ、嫌いな男と歩くのなんて嫌ですよね。すみません、僕離れますね」
「どっちにしても、もう家近いんで、ここらへんで・・・」
「さようなら」
そう言って僕は走り出した。
後ろを振り返ってはいけない。
僕みたいな奴にミサキさんは眩しすぎるから。
僕なんかに太陽に恋する資格なんてないから。
だから僕はただ走る。
自宅はとっくに過ぎたけど、走る。
僕が見つけた「答え」は、眩しい太陽から離れること。
僕が彼女に恋すると、彼女は不幸になる。
だから、さよならミサキさん。
今まで、ありがとう。
目から溢れ出す涙が頬を濡らす。
それでも僕は走り続けた。
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