夜とあなたとあたしの匂い? 最終話
越えてはいけない一線だと分かっていて、あたしは全てをあなたに委ねた。なぜその夜、その一線をあなたが越えようとしたのか、はっきりした答えはない。それでもあたしだけには分かる。ホントは分かってはいけないのかも知れないけれど、あたしは嫌なくらい分かってしまった。
振られたその夜、初めて触れるあなたの全て。5年目にして初めての夜。これが最初で最後になると、2人とも痛いほどに感じていた。「ズルいよ。」 本心とは裏腹に出る言葉。あたしのそんな言葉に意味などなく、その後はただ目を閉じた。 あなたの体温を感じながら、あなたの匂いに包まれて、あたしは涙が出るほどに心地良かった。幸せだった。
「好き。ううん、好きだったよ。」
これがあたしの最後の告白。あたしが笑って、そして、あなたも微笑んだ。
それから2人は別々の道を歩いている。少しずつ距離をひらきながら、今となっては街ですれ違うこともなければ、風の便りすら届かない。そう、あなたはただの過去の人。運命の人じゃない。
それでも、今でもあなたを思い出す。そして会えないと分かっていて、会いたくなる。きっとそれは、あの夜あたしを包み込んだあなたの優しい匂いが、恋しくなるからなのだろう。
振られたその夜、初めて触れるあなたの全て。5年目にして初めての夜。これが最初で最後になると、2人とも痛いほどに感じていた。「ズルいよ。」 本心とは裏腹に出る言葉。あたしのそんな言葉に意味などなく、その後はただ目を閉じた。 あなたの体温を感じながら、あなたの匂いに包まれて、あたしは涙が出るほどに心地良かった。幸せだった。
「好き。ううん、好きだったよ。」
これがあたしの最後の告白。あたしが笑って、そして、あなたも微笑んだ。
それから2人は別々の道を歩いている。少しずつ距離をひらきながら、今となっては街ですれ違うこともなければ、風の便りすら届かない。そう、あなたはただの過去の人。運命の人じゃない。
それでも、今でもあなたを思い出す。そして会えないと分かっていて、会いたくなる。きっとそれは、あの夜あたしを包み込んだあなたの優しい匂いが、恋しくなるからなのだろう。
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