眩しい微笑み11
次の日、ミサキさんは大学に来なかった。
カリンさんには体調不良だから休む、とメールが来たそうだ。
とても、とても、
心配だ。
好き、と認めただけでこんなにも意識してしまう。
でも、僕は決めたから。
「なあリク〜?」
セイヤが僕に話しかけてきた。
「うん?」
「お前さ・・・ミサキと何かあった?」
ぎくり。
と頭の中で音がした。でも顔には何も出さない。
自分の気持ちを隠すことは慣れている。
「別に何もないですけど・・・どうかしました?」
「いやさ・・・なんかいつもと違ったから・・・いつもならお見舞いとか行っただろ?」
「ああ、それはですね。昨日ミサキさんが僕のことが大っ嫌いと言うことを再確認したので、迷惑かと思いまして」
本当に昨日、再確認した。
前々からよく殴られたりひっぱたかれたりしたから、ミサキさんが僕を嫌っていたことは知っていた。
それでも、時たま優しい彼女に僕は惹かれていた。
ミサキさんが太陽なら僕は煙だ。
太陽の光を遮って、太陽を蝕む。
毒が恋するなんて間違ってる。
だから・・・ああするのが一番いいことなんだ。
「は・・・?」
セイヤの阿呆な声が妙にしっかりと耳に届いた。
「は?と言われても・・・」
「お前・・・それ本気で信じてる?」
本気?当然じゃないか。あんなに拒絶されちゃ誰だって思うだろう。
嫌われてるって。
リクがまだ何か言っていたが適当に流して僕は歩いていった。
向かったさきは病院。なぜかあのこに無性に会いたくなった。
ドアを叩くと中から「どうぞー」と、元気な声がした。
「あ、おにーさん!」
あのこの姿は痛々しかった。
僕はこのこがこうなるのをただ見ていた。
そのことが腹立だしくて、僕は唇をきつく噛んだ。
「おねーさんは?」
子供の無垢な心は残酷だった。
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