黒い天使 白い悪魔 ?
明るい陽射し、白い雲に青い空。青葉の茂る初夏の風。
そんな平和な一日の風景の中で、天使と悪魔が共に笑い合っていた。
「お前を初めて見た時は、ほんとにびっくりした。まさか天使が居るとは…それに」
少し考え込むように。ニード。
「お前を見たら、なんか、体の奥底から、安心感ていうのか?…そう。温かい、今まで感じた事のない感覚が…」
「うん。僕もだ。」
微笑んで、空を見上げるルイ。
「天使と悪魔って…何なんだろうね…」
昔からの疑問。言葉にするのは初めてだ。
「そのまんま。善と悪。何でそんな事訊くんだよ?」
「だって…善と悪って、決して相容れない存在でしょ…じゃあ僕は何?」
声は暗くなる。その暗さも、心の中の憂い、もやもやとしたもの。
そんな感情すらも、心地が良い。
天使なのに、そう感じてしまう自分は何なのだ?
「…ふざけんな…」
「え?」
ガシッ
「…ッ!?」
一瞬の後、自分の前髪は目の前の悪魔に掴まれ、乱暴に押し上げられていた。
「この金髪は何だ?」
ぐいっ
更に押し上げる。
「その白い肌は何だ?その蒼い瞳は何だっ!!天使の証だろうがッ!!」
「でも、僕は…」
「お前等天使は!いつもいつも…そうやって綺麗なナリして、綺麗事並べて…!俺達悪魔を蔑んできたじゃねぇか!今更何なんだ!!!あぁッ!?」
悪魔らしい目つき、悪魔らしい感情。
でも、おかしいな。一つだけ、違う感情が在る。
天使を羨む心。
悪魔の持ち得ない感情は、何故か、悪魔である彼の、その真っ紅な瞳の奥で揺れている。
「…僕が天使であってそうじゃない理由、教えるよ。」
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