キングダム 10
「レイクウェストは・・アランジスタと比べようもないくらい小さな街です。ですがその分人々の結束は強く、犯罪などほとんど起こらない平和な街でした―あの日までは・・・。」
エマは一度言葉を切って唇を噛み締めた。思い出したくない事を必死で伝えようとしているのが眉間のしわからもうかがえる。
「皆さん、レイクウェストの北にある山をご存じですか?」
「―レゼント山ですね?」
ジルファが静かに答えるとエマが大きく頷いた。
「そうです。」
「レゼント山・・名前は聞いたことあるわ。レジェンドからきてるのよね。」
「レジェンドってなぁに?」
「伝説ってことよ。」レイラがハレに説明する。
「エイジア大陸でも数少ないドラゴンが棲む山。しかも一番強く危険なブラック種でしたね。」
ジルファが更に付け足した。
「その通りですわ。」
エマが少しうつむく。長い睫が白い肌に陰を落とした。
「レゼント山に棲むドラゴンは齢一千年を超えるとさえ言われています。」
「おじぃちゃんじゃん。ほっといても死ぬんじゃない?」
「バカ!ブラックドラゴンは寿命五千年を超えるとも言われているのよ。」
あくびをしながら呟くラスタにパンを投げつけてレイラが一喝する。
「どうぞ続けてください。」
「えぇ。レイクウェストはレゼント山のドラゴンを守り神として崇めてきました。そのお陰か、今までドラゴンによる被害は一度としてありませんでした。ですが―」
「イケニエでも求めてきた?」
ロシアンが突如口を開いた。
ふかぶかと沈み込むように座るいつものスタイル。煙草をくわえながら目をつむり、
「そのイケニエがあんたの子どもに決まってもう期限が迫っている。イケニエを出さねば街がどうなるかわからない。でも小さな街だ。子ども一人を犠牲にする事も辛い。話し合いの結果駄目元で戦いを挑むことにした。しかし小さな街には戦力などほとんど無い。こうなれば外部の手を借りるしかないが王国騎士団は小さな街一つのために全滅する危険は冒さない。ならばあとは冒険者に頼るしかない―ってわけか?」
一気に巻くし立てて目を開ける。呆気にとられ見つめる一同。そのなかでエマは一人、うっすら笑みを浮かべていた。
「まったくその通りですわ。10日前に突如ドラゴンの使者から要求を受けました。内容は2週間以内に10歳未満の子どもを差し出せ―。」
エマの声が微かに震え出す。
エマは一度言葉を切って唇を噛み締めた。思い出したくない事を必死で伝えようとしているのが眉間のしわからもうかがえる。
「皆さん、レイクウェストの北にある山をご存じですか?」
「―レゼント山ですね?」
ジルファが静かに答えるとエマが大きく頷いた。
「そうです。」
「レゼント山・・名前は聞いたことあるわ。レジェンドからきてるのよね。」
「レジェンドってなぁに?」
「伝説ってことよ。」レイラがハレに説明する。
「エイジア大陸でも数少ないドラゴンが棲む山。しかも一番強く危険なブラック種でしたね。」
ジルファが更に付け足した。
「その通りですわ。」
エマが少しうつむく。長い睫が白い肌に陰を落とした。
「レゼント山に棲むドラゴンは齢一千年を超えるとさえ言われています。」
「おじぃちゃんじゃん。ほっといても死ぬんじゃない?」
「バカ!ブラックドラゴンは寿命五千年を超えるとも言われているのよ。」
あくびをしながら呟くラスタにパンを投げつけてレイラが一喝する。
「どうぞ続けてください。」
「えぇ。レイクウェストはレゼント山のドラゴンを守り神として崇めてきました。そのお陰か、今までドラゴンによる被害は一度としてありませんでした。ですが―」
「イケニエでも求めてきた?」
ロシアンが突如口を開いた。
ふかぶかと沈み込むように座るいつものスタイル。煙草をくわえながら目をつむり、
「そのイケニエがあんたの子どもに決まってもう期限が迫っている。イケニエを出さねば街がどうなるかわからない。でも小さな街だ。子ども一人を犠牲にする事も辛い。話し合いの結果駄目元で戦いを挑むことにした。しかし小さな街には戦力などほとんど無い。こうなれば外部の手を借りるしかないが王国騎士団は小さな街一つのために全滅する危険は冒さない。ならばあとは冒険者に頼るしかない―ってわけか?」
一気に巻くし立てて目を開ける。呆気にとられ見つめる一同。そのなかでエマは一人、うっすら笑みを浮かべていた。
「まったくその通りですわ。10日前に突如ドラゴンの使者から要求を受けました。内容は2週間以内に10歳未満の子どもを差し出せ―。」
エマの声が微かに震え出す。
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