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らぶふぁんとむ20.4

[210]  あこん  2007-06-23投稿
朝の十時過ぎ、恵一は隣りの家の前にいた。
久し振りな事もあって緊張するが、恵一は意を決してインターホンを鳴らす。
『あ、恵ちゃん!?』
そんな呼び方をするのは旧姓坂下牧江の他にはいない。
「…わかる?久し振り。」
『今出るねー。』
出てきた牧江は、恵一の記憶よりも綺麗になっていて、言うならば大人になっていた。
「いらっしゃい恵ちゃん。」
「うん、久し振り、牧江姉ちゃん。」
牧江の両親への挨拶も程々に、ソファに落ち着く。
「あ、これクッキー。食べて。」
「わぁ、ありがと。…そうだ、見に来たんだよね?」
と、牧江は部屋の端にあるベビーベッドを指差す。
「あ、うん。そうだ忘れてた、おめでとう。」
「ありがとう。」
笑顔で牧江は答えた。
二人でベッドの中を覗き込めば、小さな赤ん坊が眠っていた。
「あんまり姉ちゃんに似てない。」
「旦那にも似てないわよ。」
正直に言う恵一と牧江。
「生後一か月ならこんなものだって。」
牧江が手をひらひらさせながら言う。
「あ、そういえば旦那さんは?」
「お仕事。月末で忙しい、て。」
父さんと同じだ、と思いつつ恵一は口に出さない。
「名前は?」
「旦那?」
「なんでさ。」
楽しそうに牧江は笑う。
「珠美よ。」
「珠…美。」
偶然にも彼女と似た名前だった事に恵一は一瞬たじろいだ。
「そうそう、恵ちゃん見て。この子女の子なのにさ。」
牧江は珠美の服を脱がせながら言う。
「ほら、腕に痣があるのよ。肩出して歩けないじゃないね。」
左の二の腕の位置に、確かに痣のようなものがあった。
恵一の脳裏に衝撃が走った。以前見た事がある気がしたからだ。位置や形も似通っていた。
一度だけ見た、彼女のものと。
「あ、起きた。」
「…そりゃ脱がされたりしたら起きるでしょ。」
「ほら、抱いてみて。」
恵一は珠美を抱かせてもらった。
珠美は、じっと恵一を見続ける。
かと思うと、恵一の首元に手を伸ばした。
「いてて。」
「大丈夫?」
珠美は恵一のネックレスを掴んでいた。いや、通されている指輪を。
「あらあら、流石女の子。」
「だめだよ、これはやれないよ。」
悲しそう、かどうかは分からないが、珠美は手を離してまた眠ってしまった。
恵一の腕の中で。
「ふふ、気に入られたわね。」
「まさか。」
肩を竦めて、恵一は笑った。

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