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座敷少女〜二ノ話〜

[480]  Ryu  2007-06-24投稿
同時刻

岩手県金田一温泉
ホテル金馬屋


誰もいない廊下を青い蝶はヒラヒラと飛んでいる。

その蝶を無邪気な男の子が追っている。

蝶を掴まえようと手を伸ばすも蝶は手を逃れて逃げ出す…

その繰り返しが続いているにも関わらず男の子は諦めなかった。

まるで吸い寄せらかのれる様に蝶を追う。

しかし蝶を追う内にどんどん自分の部屋から離れて行き、終いには青い蝶まで見失ってしまった。

(ここどこ…?
チョウチョも消えちゃったし…
どうしよう…)

「うっ…ぐすっ…うぅ…あっ…」

その時啜り泣きする女の声が聞こえて来た。

(あれ?この声…誰か泣いてるの?)

男の子は声のする元へと向かった。




敬介と同じく首筋に六角形の形の痣がある青年、坂野仁は忍び足で夜の廊下を徘徊していた。

右手にはリボルバーが握られている。

(クソ女め…何処に居るんだ!?
とっととぶっ殺して早く終わらせてやる!!)

その時部屋のドアから青い蝶が幽霊の様に現れて壁に止まった。

ガチャッ

「待って!!
チョウチョさん!!」

その蝶が現れた部屋のドアが開いて5、6歳位の女の子が廊下へと出た。

「ここで何してる?おい!」

女の子は仁の呼び掛けに答えずに再び逃げ出した蝶を追って行った。

その様子を見て仁は安堵した様に溜め息を吐いた。

(なんだ…普通の人間か…でもあの青い蝶は怪しいな…)

仁は青い蝶と女の子の後を追った。


「どうしたの?
なんで泣いてるの?」

男の子は声を辿って玄関ロビーまで行くとそこにはたくさんの青い蝶と啜り泣きする紺の着物を着た長い黒髪の少女を見付けた。

「お姉ちゃん…泣かないで…泣いてても良い事無いよ。」

そう言うと少女は俯いていた顔を上げた。

その顔を見て男の子は息を飲んだ。
雪の様に白い肌、鼻筋がスッと通った凛とした顔立ち。だがまだ幼さが残っている。

そして彼女の眼は空の様に青く澄み渡っていた。

「綺麗な眼…」

思わず本音が漏れる。

「ありがとう…あなた…優しいのね…」

涙を溜めた悲しみの表情で少女はお礼を言った。

そう言うと少女は男の子に抱き付いた。

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