携帯小説!(PC版)

トップページ >> 恋愛 >> らぶふぁんとむ20.7

らぶふぁんとむ20.7

[202]  あこん  2007-06-25投稿
土曜の夜、仕事帰りの恵一の携帯が着信を報せる。
「はい?」
『あ、恵一?』
「母さんか、なんだ?」
『あんた明日休みよね?帰ってきなさい。』
有無を言わせず、母は恵一に言った。

日曜の朝。
恵一は半眼で実家の前に立っていた。
「あらお帰り。」
「…折角の休みだってのに。」
「いいじゃない、車ですぐだもの。」
文句を言いながら恵一は家に上がる。
「それに、今日あなたを呼んだのは私ではなくて。」
「私だよ、お兄ちゃん。」
台所に立っているのは珠美だった。
「…どーいうことだ?」
「えー、本日はよくぞおいで下さいました。」
珠美は右手にマイクを持っているかのように立つ。
「珠美主催、お兄ちゃん誕生日パーティへようこそ!」
笑顔の珠美に対して、恵一は硬直した。
「…あ、今日誕生日か俺?」
「私も忘れてたものねぇ。」
「あんたは覚えとけよ。」
隣りで囁く母に言う。
「そうか、誕生日か。えっと、じゃあ今日で二十五か。早いな。珠美が今年で十だものな。」
「私が料理を作るからねー。」
と、台所に消える珠美。
「あぁ、泣きそうだ。父親の気持ちがわかる。」
「…旦那はホントに泣いてたわよ。」
暗がりから牧江が出てくる。必要もなく隠れていたらしい。
「はい、恵ちゃんおめでとう。そして私はこんにちは三十代。」
「そうか、牧江さんが三十か。早いな。」
「…恵ちゃん、あの子に料理させた事ないんだけど、大丈夫?」
ひそひそと小さい声で牧江。
「流石に食えないものは出てこないでしょ。うちの母親じゃあるまいし。」
そして数時間後。
「召し上がれ!」
「おぅ、いただきます!」
恵一が、少し崩れた卵焼きを口に入れる。
「…。」
「どう?どう?」
「珠美。調理実習はちゃんと受けるんだぞ。」
不思議そうな顔をする一同。
「え、もしかして甘すぎた?」
心配そうな顔をする珠美。
無言で、だが笑顔で恵一は卵焼きを割る。
「これなーんだ?」
中には白い粒、というより塊があった。
「…砂糖?」
「うんうん、間違えたんだな、よくあるな。ちなみにこれは塩化ナトリウムだ。」
げぇ、と牧江が顔をしかめる。
「…えっと。」
困ったような、でも分からないような顔で珠美がおろおろする。
「ま、これから勉強な。」
恵一は珠美の頭を撫でた。

感想

感想はありません。

「 あこん 」の携帯小説

恋愛の新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス