航宙機動部隊第三章・12
『あ、そうだ!事の次いでにそのてん末も一緒に流してやれば良かったよ!この僕とした事が迂濶だったなあ〜♪まあ、手に入ったら、じきお目にかけてあげようかあ?ははっ、だが、あの馬鹿女が人生最後に歌った曲目が《なぜ争うの》?こいつは偶然にしては出来過ぎだ!くっはっはっはっはっ!なぜ争うの?そうだなあ〜争いはこの僕が無くしてあげるから安心しなよマエリー!ここの土人どもに文明の有るべき姿を叩き込んだら、争いなんか無くなるさ!』
一しきり笑い転げた後、フーバー=エンジェルミは余裕と優越感を白粉の上に更に塗りたくりながら、
『そう言う訳で、これからは僕がこの国の主だ!だからもっと崇拝して尊敬してくれよ?否、気に入らないなら抵抗しても構わないよ?その時には第二・第三のオストレスタジアムの出来上がりさ!どっちにしても、この僕からすれば刺激的なゲームなのさ♪だから君達も、せいぜい満喫してくれたまえ―』
『うおおおおおあぁぁぁぁぁぁぁっつ!!』映像が切れたのとリク=ウル=カルンダハラの脳血管が破裂したのは、同時にだった。
遥か遠くで誰かが怒号を轟かすのを耳にし―それが焼け焦げる己の声帯から出た産物だと気付いた瞬間には、自分の拳が近くの庭石にめり込むのを目にしていた。
軽く子供の高さはあるそれに小さなひび割れを残し、テンペ=ホイフェ=クダグニンの呆然と立ち尽す姿と痛覚は放置したまま、滴り落ちる血を足跡代わりに、すっかり暗くなった庭園を彼は後にし、そのまま離れ家へと歩き去った。
上がった途端にあちこちが赤く染められるのも完全に無視したまま、付けられた照明の下少年は唐机脇の小棚を探り―大切に保管されていたあの黒翡翠を取り出し布製の包みを解いた。
今や、横死せる歌姫の形見と化したそれを、唐机の前に座り込んだ少年は掻き抱き、身をよじらせながら出血にも劣らぬ量の涙を流したが、もう泣き声すら上げる事は出来なかった。
太子党の一員であるばかりに始終疑いの目で接した自分を彼は激しく責めた。
今となって分かるのだ。
マエリーはただ、立場や束縛を気にしないで済む普通の友達が欲しかっただけなのだ、と―
一しきり笑い転げた後、フーバー=エンジェルミは余裕と優越感を白粉の上に更に塗りたくりながら、
『そう言う訳で、これからは僕がこの国の主だ!だからもっと崇拝して尊敬してくれよ?否、気に入らないなら抵抗しても構わないよ?その時には第二・第三のオストレスタジアムの出来上がりさ!どっちにしても、この僕からすれば刺激的なゲームなのさ♪だから君達も、せいぜい満喫してくれたまえ―』
『うおおおおおあぁぁぁぁぁぁぁっつ!!』映像が切れたのとリク=ウル=カルンダハラの脳血管が破裂したのは、同時にだった。
遥か遠くで誰かが怒号を轟かすのを耳にし―それが焼け焦げる己の声帯から出た産物だと気付いた瞬間には、自分の拳が近くの庭石にめり込むのを目にしていた。
軽く子供の高さはあるそれに小さなひび割れを残し、テンペ=ホイフェ=クダグニンの呆然と立ち尽す姿と痛覚は放置したまま、滴り落ちる血を足跡代わりに、すっかり暗くなった庭園を彼は後にし、そのまま離れ家へと歩き去った。
上がった途端にあちこちが赤く染められるのも完全に無視したまま、付けられた照明の下少年は唐机脇の小棚を探り―大切に保管されていたあの黒翡翠を取り出し布製の包みを解いた。
今や、横死せる歌姫の形見と化したそれを、唐机の前に座り込んだ少年は掻き抱き、身をよじらせながら出血にも劣らぬ量の涙を流したが、もう泣き声すら上げる事は出来なかった。
太子党の一員であるばかりに始終疑いの目で接した自分を彼は激しく責めた。
今となって分かるのだ。
マエリーはただ、立場や束縛を気にしないで済む普通の友達が欲しかっただけなのだ、と―
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