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黒い天使 白い悪魔 ?

[490]  鴇色猫  2007-06-27投稿

「僕が自分を天使と言い切れない理由はね…」

目を閉じ、背中の神経に問いかける。

「これなんだ。」

メリメリという音と共に、尖った肩胛骨の一部が背中の皮膚を突き破る。
骨は伸びて伸びて…肉が付き始めた。そしてその肉はやがて羽毛に被われる。


真っ黒な羽毛に。


「分かる?僕は天使だけど、黒い翼を持っている。だから、天使じゃない。」

ルイはしゃがみこみ、膝を抱える。

「だから…追放されたんだ…もう、父さんにも母さんにも会えない…」

「俺も、追放された。」

ハッと顔を上げる。そこには、ニードの、何処か寂しそうな瞳があった。

「白い翼が生えたから。」

バサッ


その背中には、目映い程真っ白な翼が生えていた。

でも、片方がおかしな方向にひしゃげている。羽も所々むしられて、痛々しかった。


「お前のトコよりは、荒っぽいやり方だけどな。」



魔界。
あの何も見えない真っ暗な世界で聞こえた、複数の怒号。

あの時あそこに居たのは、悪魔たちとニードだったのだ。


「あそこに居て、息苦しさは感じてた。けど…」

「今まで仲間だと思ってたのに、翼の色が違うだけで追い出された…」

ニードの言葉をルイが引き継ぐ。

「あぁ…」

「僕ら、こんなトコまで似なくて良いのにね。」

悲しげに笑うルイ。

「悪ィ!」

ニードは頭を下げている。
しかしルイにはその理由が解らない。

「な、何で謝るのッ!?」

「お前がここに居るワケも何も知らないで、お前の言葉を天使の驕りだと思っちまった…イキナリ突っかかって悪かった!」

「い、良いよそんなの!全然気にしてないし!」

「そうか…?」

「うん!全然!」

「なら、良かった。」

ふっと笑うニード。
ルイもにっこりと笑って

「ニードって話しやすいな〜」

「そうか?…なぁ!天界ってどんなトコだ!?」

「え?う〜ん…良い人たちばっかりだったけど、ちょっと大変だった。」

「例えば?」

「『行儀良くしなさい!』とか言われるし、『悪の心を持ちません。』っていうような教典を覚えなきゃいけなかったし…」

「うへっ面倒くさ〜」

「でしょ!?あとはね…」


平穏な一日が過ぎ去っていく。
空を流れる雲のように。


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