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航宙機動部隊第三章・18

[470]  まっかつ  2007-06-30投稿
警官隊に向けて、誰からとも無く声が上がった。
『政府や治安当局は俺達星民を見捨て、外国や貴族共に味方するのか!』
『お前達もパレオス人だろう!恥ずかしく無いのか!?』
『オストレスタジアムで殺された私の家族は守らなかったくせに!何で無責任な政府は守るのよ!?』
『帰れ!太子党の犬!!』
『そうだ!今度と言う今度は大人しく引き下がると思うなよ!売国奴共もが!!ここは俺達の星だ!!!』
『手始めにこいつ等から血祭りにあげてやれ!』
『そうだ!殺せ!!殺して死んだ同胞に侘びさせてやれ!!!』
怒号と罵声の奔流は、すぐに投石と火炎瓶の洪水と化した。
やがてそれが本格的な武力衝突と銃撃戦にまで発展するまでに、そう時間はかからなかった。
恐らくはシテで始まったこの惨劇が、僅か四時間以内で首都全域をエネルギーと硝煙でどす黒く装飾してしまったのだ。
特に星民達の深刻な憤りを買ったのは、本来なら、暴動に参加しない人々を巻き込まない為に動かさるべき警察も機動隊も、何とその半数までもが、政界・官界・財界・学界その他の要人や彼等の家族、及び関連施設の警備に配置されたと言うさもありなんだが納得しかねるやり方だった。
確かに、国の機能を損なわない為と言う理由も有っただろうが、これに付け込んだフーバー=エンジェルミが、再び虐殺を仕掛ける可能性が充分予想出来た時期だけに、即座になされた報道でこれに接した二000万人が、鎮定に当たる側に先祖と歴史を共有するとて、もう容赦をする事は無かった。

同日一五時―たまりかねた緊急治安対策本部は、全部隊に鎮圧命令を発した。
そして一七時には、遂に銃器始め殺傷力を有する全ての装備の使用が許可される。
パレオス星邦星民会議々長兼元首代行ペアリーノ=グイッチャルディーニ氏は、遂に苦渋の決断を下した。
二0時。
歯止めのかからぬ大暴動を押さえるべく、閣僚全員の署名の下、彼は非常事態宣言・戒厳令・通常業務時間帯外の通行禁止令を一度に発し、公式に内戦状態を認定し、司法に無制限・全面制圧を命じ、そして、あらゆる反対を押し切って、上空の合衆国連合艦隊に援軍を要請した。
外国の軍隊に頭を下げて自国民を攻撃させる―同胞相争うただ中とは言え、いみじくも暴徒の誰かが叫んだ非難が、最も悲劇的な形で実現してしまったのだ。

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