ヤス#86
ヤス#86
【旅立ち】
春が来た。
ヤスは島を出る準備を始めた。
だが、行く当てなど無いのだ。
サトリから聞いた輪廻転生の話…母が生まれ変わって、どこかで生きている。
会いたい！…それだけがヤスの生きるエネルギーとなっていた。
ふと、玄関に人の気配を感じた。
｢ヤス！いるか？｣
親友の川村が入って来た。ヤスの数少ない友人だ。母親の泰子と一緒だった。
｢あ、泰子おばさん。お久しぶりです｣
｢久しぶりね。やっちゃん、元気だった？｣
｢はい。おかげ様で。どうぞ、お茶を入れますから｣
川村は隣の島に住んでいる。母子家庭だが、何故か裕福だった。詳しい事は教えて貰っていないが、生活に不自由しないくらいの財産を持っているのだろう。
泰子は死んだ母と同世代で、いつも少し派手目の化粧と服を着ているが、性格はすこぶる良くて、純子が床に臥してからは、頻繁に見舞いにも来てくれている。純子が亡くなってからも、ヤスの事を何かと心配してくれていた。
ヤスは親子を居間に案内すると、お茶を差し出した。
｢ありがとう。やっちゃん｣
｢どうかしましたか？突然｣
【旅立ち】
春が来た。
ヤスは島を出る準備を始めた。
だが、行く当てなど無いのだ。
サトリから聞いた輪廻転生の話…母が生まれ変わって、どこかで生きている。
会いたい！…それだけがヤスの生きるエネルギーとなっていた。
ふと、玄関に人の気配を感じた。
｢ヤス！いるか？｣
親友の川村が入って来た。ヤスの数少ない友人だ。母親の泰子と一緒だった。
｢あ、泰子おばさん。お久しぶりです｣
｢久しぶりね。やっちゃん、元気だった？｣
｢はい。おかげ様で。どうぞ、お茶を入れますから｣
川村は隣の島に住んでいる。母子家庭だが、何故か裕福だった。詳しい事は教えて貰っていないが、生活に不自由しないくらいの財産を持っているのだろう。
泰子は死んだ母と同世代で、いつも少し派手目の化粧と服を着ているが、性格はすこぶる良くて、純子が床に臥してからは、頻繁に見舞いにも来てくれている。純子が亡くなってからも、ヤスの事を何かと心配してくれていた。
ヤスは親子を居間に案内すると、お茶を差し出した。
｢ありがとう。やっちゃん｣
｢どうかしましたか？突然｣
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