MURASAME
ぬえ?
暖かい日差しが部屋に広がる。
布団がもぞもぞと動き、呑気な欠伸とともに氷川竜助が起き上がった。
「朝…かな?」
彼は近くに置かれていたサングラスを掛けるとふらつく足取りで、部屋を後にした。
「お目覚めでございますか?」
竜助が部屋から出ると待っていたかのように執事風の小柄な男が現れた。
「おはよう…今日の仕事は?」
「今日は本部から呼び出しがきております」
執事風の男は懐から手紙を取り出し、竜助に渡した。
「……内容が書いてない所を見ると、大事かな」
「若…少しは御自分のお身体を大切にしてください…いくら妖庁からの仕事でも、若に何かあっては御頭首様に申し訳がかかりませぬ」
執事の言葉に竜助は頭を掻いた。サングラスの奥の瞳が困ったように歪む。
「兄は関係ない。僕は僕の意志でやっているんだから」
竜助の言葉に執事は何も言えなかった。
氷川竜助は妖庁を牛耳っている四大支族の中心、氷川家の次男坊である。彼の三代前の頭首、氷川勇斗は妖庁創設メンバーに数えられ、彼の兄で氷川家現頭首、氷川武流は妖庁最高責任者として妖庁の頂点に君臨している。竜助もまた、妖庁役人として活動している。ただ、竜助にとって兄は遠い存在であり、氷川の名もまた疎ましいだけのものだった。
暖かい日差しが部屋に広がる。
布団がもぞもぞと動き、呑気な欠伸とともに氷川竜助が起き上がった。
「朝…かな?」
彼は近くに置かれていたサングラスを掛けるとふらつく足取りで、部屋を後にした。
「お目覚めでございますか?」
竜助が部屋から出ると待っていたかのように執事風の小柄な男が現れた。
「おはよう…今日の仕事は?」
「今日は本部から呼び出しがきております」
執事風の男は懐から手紙を取り出し、竜助に渡した。
「……内容が書いてない所を見ると、大事かな」
「若…少しは御自分のお身体を大切にしてください…いくら妖庁からの仕事でも、若に何かあっては御頭首様に申し訳がかかりませぬ」
執事の言葉に竜助は頭を掻いた。サングラスの奥の瞳が困ったように歪む。
「兄は関係ない。僕は僕の意志でやっているんだから」
竜助の言葉に執事は何も言えなかった。
氷川竜助は妖庁を牛耳っている四大支族の中心、氷川家の次男坊である。彼の三代前の頭首、氷川勇斗は妖庁創設メンバーに数えられ、彼の兄で氷川家現頭首、氷川武流は妖庁最高責任者として妖庁の頂点に君臨している。竜助もまた、妖庁役人として活動している。ただ、竜助にとって兄は遠い存在であり、氷川の名もまた疎ましいだけのものだった。
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