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HOTEL Lobby

[305]  誰叶  2007-07-09投稿
少年は日没と共に目を覚まし、いつになったら終わるのだろうと自問する。世界はお金で溢れている。少年は無防備なまま出かけ、親友にも耳を貸さない。目的はお金だけだから………
 
 
 
彼の名前は内緒智(うちおさとし)。中卒で将来の宛てなど何もない。今を生きるのが精一杯な16歳。親は智が幼稚園児の時に交通事故で他界し、年の離れた兄によって育てられた。しかしその兄も結婚し、智の行き場は無くなった。友達の家に数日泊めてもらったがさすがに迷惑だなと思い、親が自分のために貯めてくれたお金を持ち、出ていった。住む家は無かった。公園のベンチ、小さな工場、人の家の納屋などホームレス状態だった。公園のトイレで髪を洗ったり、勝手に人の家の洗濯物を盗んだり散々だった。でも、生きるためにはしょうがなかった。
 
ある日、智が老人ホームの裏で寝ていると一人の男が声をかけてきた。
「君、寒いだろ。俺の家に来なよ」
智は眉間に皺をよせて言った。
「結構です」
眠気で呂律が回っていなかったが、その男には通じたようだった。だが男は無理矢理智を起こし、強引に手を引っ張った。智にはそれからの記憶がない。
 
気付いた時にはベッドの上に寝ていた。何年ぶりだろう…、そう思った。
「起きた」
男は言った。
「……」
智は何も言えなかった。極度の人見知りの上に、ここ最近誰とも話していない。智は気付いた。智と同じ年くらいの少年が二人いる。一人は智を見るとにこりと笑ったが、もう一人は無愛想な表情を変えなかった。
「慎太郎、武徳。俺買い物に行ってくるから留守番頼む」
そう言って男は家を出ていった。
「あーあ、可哀想」
無愛想な少年は言った。するともう一人もそれに同調し頷く。それを見た智は口を開いた。
「なんで。あのオジサン悪い人なの」
智の問いに二人は笑った。そして無愛想な少年は言う。
「悟さんは良い人だよ。行き場を失った俺たちを育ててくれている」
「うんうん。ただ…」
もう一人の少年の笑顔が消えた。智は尋ねた。
「ただ」
二人の少年は智をベッドに寝かせ、一人は智の上に、もう一人は部屋の鍵を閉めた。
「体で説明してやるよ」
智には意味が分からなかった。

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