カラスの天狩り 7 『夢』※チョットBL表現アリ
『薬』
彼は、何処か面白がっているような、けどやっぱり艶やかな甘い声色で、そんな唐突な質問を投げかけた。
耳元で囁かれ、冷たい吐息がかかる。
僕は何だか体が震えた。
−−−つまり…、
僕がその薬を、飲むかどうか聞いてるんだ…。
答えるべきか否か、
僕は少し逡巡したものの、黙っていても何も始まらない気がして、
「…飲まない」
と否定の言葉を返した。
そういえば、ほのかに甘い香がする…。
彼の黒紫の髪が僕の顔にかかっている。
近くで見れば見るほど、綺麗で、サラサラとしていて、そして、今まで嗅いだことのない不思議な甘い香がそこからした。
それは心地よいもので、僕は今の状況を忘れて、少しの間、心が安らいでいた…。
『…ふっ…ふははっ!』
不意に、吹き出したような笑い声がした。
最初から予想していたような、彼は笑いながら深いため息をついた。
『…はぁ…やっぱねぇ…それに、あんたもう……鈍感っ…。どうして呑ませるのにこんな体制にしたのか解っていねぇ…。』
彼はゆっくり起き上がった。口元が笑っている。
初めて見る表情だった。
『逃げられないように、両手塞がってるのにさ……でも、じゃぁ、しょうがないかぁ……』
急に、彼は左手に力を込めて僕の髪を引くと−−
僕の唇に自分の唇を重ねた。
唇に、温かくて柔らかい感触がする…。
…
…………えっ……、
あっ……つまり…………
えっ………?
くっ…口移し……っ!?
彼が現在進行形で行っているこの行為を理解するのに、時間はかからなかったけど、
一気に恥ずかしさが込み上げてきた。
自分でも顔が紅くなっているのが分かる。
言い知れぬ羞恥心がして、僕はぎゅっと目を閉じた。
かなり…恥ずかしい……
てっ…!
いやっ!これは夢だっ!
絶対夢なんだ!
だって…ほらっ!
なんで……彼はっ……!
僕っ…男…だし……
これって……いわゆる…
キ……いやいやっ!
違うっ!夢!
絶対!
……自分でも分かる通り、かなり僕は錯乱していた……。
言葉が支離滅裂…。
そして、それを否定するように…彼の舌がはいってきた…
感想
- 7415: きもい [2011-01-16]
- 7421: こんにちは又はこんばんは。 作者です。 ご気分を害されたようですみません。私自身なんとか伏せて書くことを努めたのですが、一応必要なんです…。ですが、人の好き嫌いや観点等は人それぞれ、私は別に強制は致しません。上記のお方のようにご嫌悪感を与えてしまいましたら私がふがいないだけです。でも、少しながらも読んで下さり有難うございます。 [2011-01-16]
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