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鬼牛の鳴く島 7

[382]  那須  2007-07-14投稿
船は荒波に揺られながらもなんとかその島にたどり着くことに成功した。船着き場はなかった。無理矢理海岸に乗り上げた感じだ。
「帰りはどうするんです?こんなに乗り上げちゃって…」
拓海が不安そうに尋ねる。
「全員で力一杯押せ。何とかなる。」
本当に何とかなると思っているのだろうか。徳本の笑顔は心なしかひきつっている。
「せめて電話があれば…そうだ!おまえら携帯持ってねぇのか!?」
徳本の言葉に5人はハッとした。すっかり忘れていた…
「だめだ…圏外です」
やはりこういう場合、携帯は繋がらないというのはおきまりのようだ。
「とりあえず今日は寝よう。島の中に行けば島民もいるだろうし、旅館でも寺でも…とにかく泊めてもらおう…」
三上を筆頭に、5人の学生は、海岸を歩き始めた…徳本も、もう一度島の全景を確かめた後、ため息を付いて、学生の後に続いた…

二キロほど歩くと、ようやく明かりが見えてきた…どうやら漁村のようだ。が、近づくにつれ、6人はなんだか不気味な違和感を感じた…
「船がないな…」
そう。港があるのに船が一隻も止まっていないのだ…
港の先の、真っ赤な灯台も、その仕事を終えたようにただひっそりと佇んでいた…

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