愛に生きる人1
恋愛とは、男にとって人生の挿話であり、女にとっては人生そのものである
プロローグ
暗い部屋の中。一人の男と純粋無垢な少女がいた。
少女は見知らぬ男の話すことを、疑う事なく聞いていた。
「さあ、服を脱いでごらん」
「うん……」
それは、とても奇妙な時間だった。
男は少女を犯すでもなくただ、着せ替え人形のようにもてあそぶだけであった。
それは、ことが及ぶ前にその少女の父が、駆け付けたからかもしれない。
「ゆりゑ!」
その声を聞いて、男は逃げ出す。
少女の父は、逃げ出す男の背中に飛び付いた。
そして、その男の顔を、何度も何度も殴りつけた。
警察が到着した頃には、男の顔はグチャグチャになっていた。
それから、10年がたった。「ゆりゑ」と、呼ばれた少女は16の誕生日を迎えていた。
母の声「はっぴ ばーすでー、ゆりゑ」
その声に合わせて弟も
「HAPPY BIRTHDAY、姉貴」
と言う。
しかし、その声はどこか悲しげだった。
私も素直に喜べなかった。確かに嬉しいのだが、今はそんな状態ではないからだ。
とても優しい、いつも見守っていてくれた父が、死んだのだ。
交通事故だ。
一週間前、私への誕生日プレゼントを買ったその日に、死んでしまった。
私は泣いた。涙が枯れ、一滴も出なくなるまで。
それほどまで父のことを大切に思っていたのだ。
このことは、私の心に埋めようのない、大きな大きな穴を開けたのだった。
それからの私は、まるで心のない人形のように、ただ淡々と、毎日を生きるだけだった。
プロローグEND
プロローグ
暗い部屋の中。一人の男と純粋無垢な少女がいた。
少女は見知らぬ男の話すことを、疑う事なく聞いていた。
「さあ、服を脱いでごらん」
「うん……」
それは、とても奇妙な時間だった。
男は少女を犯すでもなくただ、着せ替え人形のようにもてあそぶだけであった。
それは、ことが及ぶ前にその少女の父が、駆け付けたからかもしれない。
「ゆりゑ!」
その声を聞いて、男は逃げ出す。
少女の父は、逃げ出す男の背中に飛び付いた。
そして、その男の顔を、何度も何度も殴りつけた。
警察が到着した頃には、男の顔はグチャグチャになっていた。
それから、10年がたった。「ゆりゑ」と、呼ばれた少女は16の誕生日を迎えていた。
母の声「はっぴ ばーすでー、ゆりゑ」
その声に合わせて弟も
「HAPPY BIRTHDAY、姉貴」
と言う。
しかし、その声はどこか悲しげだった。
私も素直に喜べなかった。確かに嬉しいのだが、今はそんな状態ではないからだ。
とても優しい、いつも見守っていてくれた父が、死んだのだ。
交通事故だ。
一週間前、私への誕生日プレゼントを買ったその日に、死んでしまった。
私は泣いた。涙が枯れ、一滴も出なくなるまで。
それほどまで父のことを大切に思っていたのだ。
このことは、私の心に埋めようのない、大きな大きな穴を開けたのだった。
それからの私は、まるで心のない人形のように、ただ淡々と、毎日を生きるだけだった。
プロローグEND
感想
感想はありません。