魔法戦記1#『始まり』
人は深い眠りに附いた時、夢の世界へと誘われる。
その世界では意識だけで物事は進み、印象に残ったもの以外は全て忘れてしまう。
もう一つの世界。
もう一人の自分。
何度も同じ夢を見る事に一人の少年は悩まされていた。
目が醒めた時には既に朝だった。
身を起こし、辺りを見渡す。
見慣れた自分の小部屋。
換気用の小窓から朝日が零れている。
『また同じ夢…』
独り言のように呟くと深いため息をつかせた。
『カイ兄ぃ〜!?朝ごはん出来てるよー!』
ドアの向こうから妹のメイの声が響く。
『わかった…。今いくよ』
着替えを済ませ、食場の広間へと向かう。
広間に入った時にはすでに馴染みの二人が朝食を静かにとっていた。
自分を入れて六人で囲むテーブルには朝食とは思えないほどのご馳走が山となってテーブルを埋め尽くしていた。
『…朝食…だよな?』
呆気に取られ、隣で果物ばかり口にしている長い緑髪の女の子に声を掛ける。
『だって、今日はあんたの記念日だろ?』
『記念日…?おれの誕生日とかはまだまだ先だけど?』
『おまえまだわかんねーのか?』
奥の席で肉ばかりほうばっていた赤の短髪が呆れたように言ってくる。
『レン、さっぱりだ。わからん…』
『ったく…今日はグレイル傭兵団の入団試験だろーが!』
入団試験と聞いて思い出したように手を叩く。
『あ!そうだった!で、親父は!?どこにいる!?』
『飯食い終わったら、外の広場で待ってるだとさ』
『わかった!』
カイは颯爽と広場へと駆け出す。
『いやっだから飯食えって!』
レンが言うより早くカイは飛び出していった。
『…なんか張り切ってるなあいつ』
近場にあった果物を食べ尽くした緑髪の女がさらにないかとテーブルをあさりながら言う。
『まぁ…ようやく団員として認められる日だからな〜』
『うんうん…あのばかが危ない時は私たちが守ってあげればいいことだし』
『ハハハ…そーとバカにされてんなカイの奴…ってオイ!スー!それ俺の林檎だぞ!!』
『気にするな。』
カイは広場に出た。
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