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航宙機動部隊第三章・35

[509]  まっかつ  2007-07-23投稿
出陣予定の戦力は制式宇宙軍六・艦船八一七九隻。
他に大本営に直属する予備集団が三000隻。
合計艦船一一一七九隻・兵員約五一0万人が乾坤一擲の大会戦で雌雄を決すべく編成を完了していた。
いずれもが独立性の強い軍閥であり、宙将位を与えられて帝国の傘下に入ったとは言え、提督達はそれぞれの棟梁だ。
言わば私兵集団の連合体―統合宇宙軍のこれが実態だった。
ゆえに、成功しても犠牲が大きく、失敗すれば全滅必至の作戦を各宙将がどう判断し、反応を示すかは皇帝エタンですら、否、皇帝だからこそ未知数だらけの危機感の的で、説明を聴きながらその間中、ちくちくとした胃痛に悩まされる自分を否定する事が出来なかった。
将領達からすれば、自分の政治力の貴重な資本を自分の為以外の目的に差し出せと命じられたも同然なのだ。
帝国が遂行した今までの戦役は、多かれ少なかれ戦勝後の利益配分、つまり略奪―が主目的だった。
大軍を動員出来た最大の理由は一にこれにあったのだ。
パレオスはその宙理的位置から他世界との交流が盛んでこの辺境では最も豊かな星系だ。
だから制服すれば今までに無い旨味も有るだろう。
だが、今回は明らかに帝国VS合衆国と言う国家間の覇権戦争にまで発展してしまっている。
それ所か、中央域VS最外縁間の【文明の衝突】の側面すら露呈して来た。
この急転した構造に諸提督達が付いて来れるのか―博識なだけにエタンの懸念は多方面に及んでいたのだ。

左総長クレオン=パーセフォンの主張はこうだ。
最外縁征討軍は確かに組織としては機能的ではない。
幾つもの傭兵艦隊の寄せ集めの上、司令長官に戦事司令官と、最高指揮官が二人も居て命令系統に混乱の生ずる可能性もある。
しかも、これに加えて、太子党の傍若無人振りが、彼等の政治的結束を再起不能にしてしまった。
恐らく第一線将兵達の士気は低下し、様々な不満・疑念のわだかまりは深刻になっているだろう。
だが、それがすぐに軍事的ポテンシャリティーの衰退に繋る訳では無い。
彼等のパレオス星系要塞化事業は現在も継続されており、政情不安は却って新たなる援軍による兵力強化策を呼び寄せるかも知れない。
詰まり、これだけで統合宇宙軍が絶対的優位に立ったと判断するのは早計に過ぎるのだ。

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