携帯小説!(PC版)

トップページ >> SF >> 航宙機動部隊第三章・37

航宙機動部隊第三章・37

[508]  まっかつ  2007-07-28投稿
だが、抜け道はある。
中央域文明圏の利権・利害構造は人知を越えた複雑さだ。
例えば今みたいに防衛産業や公社軍の不沈空母として星毎貸し出すとか、最終兵器の処分・凶悪犯罪者の収容先等、多少の汚れを受け入れさえすれば、唸る程の大金を便宜出来る魔法の杖が手に入る仕組みがあるのだ。
この位自己解決出来そうなものなのだが、進み過ぎた文明は、そこに住む者を呆れる程に極度の潔癖症かつ神経質に仕立て上げて久しくなっている。
又、宗教・倫理面の価値体系も併せて極度の肥大化・細分化を示し、その傾向をマスコミと結託した人権・道徳団体がビジネスがてら煽りに煽りまくっていた。
だからこそ、臭い物は辺境に流し押し付けるシステムが自然と成立し、繁栄から外れた宙域や星系が貧困から脱出する為の手段と化していて、恐らくはそれ等の内複数とのコミットメントを経て、パレオスは不可能を可能としたのだろう。
それは、中央域への経済的従属を辞さない彼等の覚悟の現れであった。
『では、肝心の宇宙会戦に視点を写しましょう』
青白く輝く最悪の未来図を収束させて、クレオン=パーセフォンは、今度はもう少しまともだがやはり悪夢に満ちた現実を躊躇いなくホログラムにした。
帝国・合衆国両軍の交戦シミュレーションだった。
提督達の視線が集まる中空で、シンプルに二時限図形化された機動部隊集団が運動しながらぶつかり合う。
その周りに無数とばら蒔かれ、たえ間なく書き換えられるバラメーターや説明表示が、戦況の推移振りにリアルタイムで補足を加え続ける。
味方を現す赤・敵を示す緑が交錯する様子があらゆる角度で次々と再現され、それ等は全て同じ結果を語っていた。
『御覧の通り、寄せ集めとは言え、連合艦隊の所有する技術力はざっと我等の三00年は先を行っています』
ホログラムを一端停止して、左総長は歓迎すべかざる事実を、厳粛さと沈痛さを込めて宣告した。
『その兵器体系は様々な規制があり必ずしも脅威とは断言出来ません―ですが、殺傷目的以外の体系の充実振りは正直対抗するに絶望的なのです』
特に、集団管制と電磁膜防御システムの二つは鉄壁の堅固さで統合宇宙軍の前に立ち塞がる。
下手をすれば、ジャミング・ハッキングの嵐でこちらの管制は無力化され、個艦単位まで敵に自由を奪われてしまうのだ。

感想

感想はありません。

「 まっかつ 」の携帯小説

SFの新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス