殺し合いごっこ‐LAST CHAPTER‐23
林道に広がる肉片と血痕。
そして血の臭い。
焦点がずれたまなざしを向ける男の首。
『あの時と…同じだ…』
2週間前の光景がフラッシュバックする。
道路を埋め尽くす死体の山。
睨み付ける女の首。
そして何より佳奈美に殺気が込もったなざしを向ける勇の姿。
そして今、佳奈美の目の前に左腕を血で真っ赤に染めて赤いオニの目で佳奈美を睨み付ける勇がいる。
「元々は人間だ。 だがな…今は理性も何も無いただのの化け物だ。」
勇は更に続ける。
「元は人間だからって躊躇すれば喰われちまう。
そして俺達はコイツ等の犠牲の上に成り立っている。 分かるか?
つまり俺達半鬼はオニを殺して奴等の血を飲まなければ生きてはいけない。
…オニを殺す事。 それは俺達半鬼の宿命だ!!」
そう言うと勇は倒れている男性の死体を一人引き寄せて首筋に噛み付いて、血を吸い始めた。
佳奈美をオニの目で睨み付けながら。
佳奈美は震えながら目を潤ませてただ勇の姿を見ていた。
しばらくして勇は食事を終えると立上がり佳奈美にこう言い放った。
「俺は先に行く。 死にたくなければそこにある死体の血を吸って食事を済ませてから俺に着いて来い。
いいな?」
勇はそう言うとまるで風の様に佳奈美の前から姿を消した。
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