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怪〜KAI〜

[572]  あいじ  2007-07-28投稿
座敷わらし?

「教授…いつになったら着くんですか〜…」
弥生子が弱音を吐く。彼女の頭上には険しい山道が広がっていた。
「ん…もうちょいで着くよ」
弥生子の言葉も虚しく、ひたすら上へ進んでいく由良。彼にとって、今回の出来事はまたとないチャンスであった。
全ては民族学研究室にかかったきた電話が原因だった。


電話の主はさる旅館の女将だった。
「僕に何の用でしょうか?」
由良が問うと、相手は酷く狼狽した感じで言った。
「帝都大学の由良教授は妖怪研究家の中でも著名な方と聞きました。実は調査してほしいことがあるのでございます」
女将の言葉は丁寧だがどこか影のようなものを孕んでいた。由良はとりあえず話を聞く事にした。
「当旅館は百年以上の歴史を持つ老舗でございました。今でこそ小さくなりましたが、地域の人や長年使用してくださった方々に支えられ、今までやってきました」
女将は言葉を切った。そして決意したように話始めた。
「ですが最近、妙な噂が流れたのでございます。私どもの旅館に夜な夜な子供の幽霊がでるというものでした…最初はただの噂と思っておりましたが、仲居達の間にもその幽霊を見たという者が現れまして、調査と云うのはその真偽を確かめてほしいのです」
というような話だった。由良はその話を快諾し、弥生子を伴い、その旅館に出発したのだった。


「教授、何でこんな調査引き受けたんですか?」
由良の後ろについていた弥生子が話しかけた。
「うん…僕はその子供の幽霊は妖怪なんじゃないかと思うんだ…」
「妖怪?」
いつになく真剣な由良の言葉に弥生子は思わず言った。
「座敷わらしという妖怪を知ったいるだろう?」
由良が弥生子の方を向き直り言った。


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