紅いアクマと私02
「大丈夫?」
熱い。
体中が熱い。
意識が朦朧とする俺の頭にはっきりと届く人間の声。
一応[壁]を張ったのに・・・
疑問が湧くが朦朧とした頭で考える気にはなれなかった。
それよりもこの人間をどうするか・・・
すぐ近くにある顔を見つめる。
性別、女。
髪は茶。
どこにでもいそうな人間だ。
人間は俺に手をのばしてきた。
抵抗、したいが体が動かない。
人間の手が俺の額に触れ、すぐに手をひっこめる。
そしてまた手をのばす・・・・。
俺の汗ばんだ額に手が置かれた。
熱い。
人間は体温が高いらしい。その手は随分と熱かった。
人間が布で俺の顔をふきはじめた。
汗が吸い取られていく。
少し、心地良かった。
が、
いきなり激痛が襲ってきた。
もぎ取られた俺の右翼に。
「ぐっ・・・あ・・」
声が漏れる。
汗が頬を伝うのがわかった。
「どうしたの!?大丈夫?」
人間が俺の肩に触れる。
そのとき視界にちらりと映ったのは
もぎ取られた翼の、かすかに残った部分が黒ずんでいて−−−
呪いをかけられた・・・!
激痛は少しずつ、治まってきた。
俺の息も少しずつ安定してくる。
人間をちらっと見ると、おどおどしていた目と目が会った。
よく見ると茶色で。
そこで俺の思考は途切れた。
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