紅いアクマと私03
これは人間じゃない−−−
こいつの肌に浮く汗を拭こうと手をのばした。なぜそうしようとしたかはわからない。
手が触れ−−−
私はすぐに手をひっこめた。
冷たい。
ひんやりと。
こんなにも熱そうなのに。
なぜ?なぜ?なぜ?・・・・
こいつは・・・
人じゃないからいいのか。勝手に納得。
こいつの汗をタオルで拭く。タオルは少しずつ冷たくなった。
突然、
この生物が苦しそうな声をあげた。
見ると、翼の片方が黒ずんででいた。
そしてその翼は・・・むしられたかのように、隣と大きさが違った。
鳥の羽にある手羽先はなく、つまり中身はないらしかった。
その羽の残りがどんどん黒く染まっていく。
こいつも苦しそうだ。
息が荒い。
私は何もできなかった。
次第に羽は元の紅に戻ってきた。
呼吸も落ち着いてきた。
私はまだおどおどしていたが、ふと、目が会った。
真っ黒な瞳。
何を考えているのだろう。
相手の目が閉じる。
顔を近づけて見ると、どうやら寝てしまったようだ。
ここで私の頭は恐ろしく冷静になった。
部屋、片付けなきゃ。
部屋は紅い羽が一面に散らばっている。
拾うのは骨が折れそうだが、しかたない。
私はしゃがみ込むと、紅い羽を拾い始めた。
こいつの寝顔をふと見ると、とても穏やかだった。
人間みたいに。
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