クリスタル
ネオンに包まれ夜でもなお明るいその街から、逃げるように車で30分。私の家は、そこにある。
家族はいない。一歩だけ先に立って家のドアを開けてくれる彼女が、私にとって、一番家族に近い存在だった。
「あーあ…『ぽっぷ』終わっちゃってるよ、あづみさん」
リビングにつくなり、私はぐったりしてそうぼやいた。
どんなときでも手洗いうがいを忘れないあづみさんは、洗面所からひょっこり顔を出していう。
「ポップ?何、テレビ?」
「違う、ラジオ!
今日は黎が出てるから、聴けって言われたの、あいつに!」
「あらあら」
あづみさんは笑う。まだきっと若くて肌とかめっちゃきれいなくせに、そうやって笑うとまるでおばちゃんみたい。
私はため息をついて、もう一度時計を見上げた。22:05。事実は変わらないけど。
私は稲川睡蓮(すいれん)16歳。駆け出しだけど、男女ユニット『デイドリーマー』でボーカルやってます。
相棒は、さっきちょっと言ったけど、ギタリストの秦野黎っていう男の子。ちなみにあづみさんは、三原あづみっていって、私のマネージャー兼保護者。
私は、ちょっと前までは、こんな世界とは縁もないようなふつうの女子中学生だったんだ。
私がこんな夢世界にきちゃったのは、忘れもしないあの日――――。
家族はいない。一歩だけ先に立って家のドアを開けてくれる彼女が、私にとって、一番家族に近い存在だった。
「あーあ…『ぽっぷ』終わっちゃってるよ、あづみさん」
リビングにつくなり、私はぐったりしてそうぼやいた。
どんなときでも手洗いうがいを忘れないあづみさんは、洗面所からひょっこり顔を出していう。
「ポップ?何、テレビ?」
「違う、ラジオ!
今日は黎が出てるから、聴けって言われたの、あいつに!」
「あらあら」
あづみさんは笑う。まだきっと若くて肌とかめっちゃきれいなくせに、そうやって笑うとまるでおばちゃんみたい。
私はため息をついて、もう一度時計を見上げた。22:05。事実は変わらないけど。
私は稲川睡蓮(すいれん)16歳。駆け出しだけど、男女ユニット『デイドリーマー』でボーカルやってます。
相棒は、さっきちょっと言ったけど、ギタリストの秦野黎っていう男の子。ちなみにあづみさんは、三原あづみっていって、私のマネージャー兼保護者。
私は、ちょっと前までは、こんな世界とは縁もないようなふつうの女子中学生だったんだ。
私がこんな夢世界にきちゃったのは、忘れもしないあの日――――。
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