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絵空事?

[144]  あかり  2007-08-01投稿
―三井直樹が死んだのだ。三井は高校の同級生だった、数学研究部兼化学部部長、かちかちの理系かと思いきや彼は法学部志望の文系少年。彼は事ある毎に私に向かって「おまえ人間じゃないだろ?」と唱えていた。その頃の私は小学生のような見た目で頭脳はバッチリ高校生だったから学校では浮いた存在だった。
「あんたの頭が化け物よ。」理系だった私よりも文系のくせに理系教科ができる三井を私は妬んでいた。「誉め言葉じゃないの」そうやって喰らい付く私を幸子がなだめる。
三井が本当に私がヒトではないことに気付いてるのかは定かではないけど、家族すら言葉にできなかったことをはっきりと言ってくれた三井の存在に私が救われていたのは本当だった。
その三井が死んだ原因は、癌だった。癌に蝕まれ、苦しみ抜いたらしい彼の死顔は最後に彼を見た卒業式のあの日とは別人のように疲れはて、皺が刻まれ、それでいて安らかだった。
顔に触れた時の冷たさを私はまだ覚えている。できることなら彼と一緒に年を取りたかったと思った。それができたらどれほど良かっただろう。しかし、彼はいってしまい、私はかわらないままだ。
ああ、あの日々はどこへ。

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