それでもこの世界が好きだから…2時間目
早朝の朝日に、校舎へと入っていく学制服の群れ。
私も幽霊ですけど、その中に混じって登校してるんです。
校門から校舎まで続く花壇。
日の光を浴びて咲いている小さな花達を見ながら歩くのが私の日課。
上を見上げると…澄み渡る青空が広がっていて、死んでるはずなのに…おかしなことに『生』を実感します。
今日もいい天気〜♪なんかいいことが起こりそうです。
キーンコーン、カーンコーン…
あっ!遅れちゃう!急がなきゃ…
そして、朝のHR。
「先生おはようございまーす!!」
最初の一声、担任の先生が教室に入るなりクラスメイト達と一緒に挨拶。
「ぁあ、みんなおはよう。じゃあ点呼から…出席番号…」
まずは人数確認のための点呼。
当然のことですけど、今日も私の番号と名前は呼ばれません。
だけど、一つだけ不思議なことがあるんです。
それは60年前に死んだにも関わらず…幾年経っても、私が生徒名簿に載っていること。
最初は校内の書物などを調べて回ったのですが、結局わからずじまいで胸の内に秘めていました。
みんなとお話したり、遊んだり出来ないけど…こうして同じ時間に同じ場所で過ごしていることが今は楽しいです。
それに…今年の3−1組は色んな人達がいっぱいで少しも飽きません。
このクラスが後、2〜3年続けばいいのになぁ〜と、思ったりします。
そして、放課後。
クラスメイト達の部活動を見て回った私は教室に戻りました。
バスケ部の応援、ガンバレー!と言ってみたり…
吹奏楽部のクラシックにウットリしたり…。
満足して教室に入った時でした。
「美久〜どう?今週の記事、書けた?」
放課後、居残っていた生徒数人が一つに集まっていました。
「それが全っ然いいネタないのよね〜。夏休みも近いし…なんか夏と絡むネタが欲しいんだけど…」
「ふ〜ん…あっじゃあ幽霊関係とかはどう?夏といえばお化けだし♪」
「幽霊か〜あたし、いまいちそーゆーの信じてないんだよねー…てゆうかさ?」
「なになに?なにか思い付いた?」
「この生徒名簿の事なんだけどさ…美月由奈って子」
自分の名前を呼ばれ、私は肩が少し動きました。
続
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