ジレンマ?
三井君はいいひとだ。実は私は彼と幼稚園の頃から幼馴染みだったりする。
小学生の頃、私たちはよく一緒に出かけた。
彼は冬には私の手を引いて根気よくローラスケートを教えてくれたし、夏には地元のお祭りの露店で買ったきれいな色のスーパーボールをくれた。
三井君は私の中で特別だった。
「朱希、しょうちゃんが来てるわよ」
だから二ヶ月前に突然三井君が五年ぶりに私の家に来たときには驚いた。
母は未だに三井君をしょうちゃんと呼ぶ。
三井君は今、千佳と付き合っている。
あの日も私に千佳のことが好きだと相談してきた。
「藤居さんって今、誰かと付き合ってたりする?」
五年ぶりにまともに交す言葉のひとつひとつが私の心臓を締め上げた。
私が好きになった人はみんな千佳を好きになる。
五年の間で私はそうやって傷付きながらも人を好きになることをやめられなかった。
ああ、今日だって冷え性の私ではなく、あったかい千佳の手を握っている三井君を学校からの帰路で目撃してしまった。
もう私が、しょうちゃん、なんて呼べるはずもなかった。
小学生の頃、私たちはよく一緒に出かけた。
彼は冬には私の手を引いて根気よくローラスケートを教えてくれたし、夏には地元のお祭りの露店で買ったきれいな色のスーパーボールをくれた。
三井君は私の中で特別だった。
「朱希、しょうちゃんが来てるわよ」
だから二ヶ月前に突然三井君が五年ぶりに私の家に来たときには驚いた。
母は未だに三井君をしょうちゃんと呼ぶ。
三井君は今、千佳と付き合っている。
あの日も私に千佳のことが好きだと相談してきた。
「藤居さんって今、誰かと付き合ってたりする?」
五年ぶりにまともに交す言葉のひとつひとつが私の心臓を締め上げた。
私が好きになった人はみんな千佳を好きになる。
五年の間で私はそうやって傷付きながらも人を好きになることをやめられなかった。
ああ、今日だって冷え性の私ではなく、あったかい千佳の手を握っている三井君を学校からの帰路で目撃してしまった。
もう私が、しょうちゃん、なんて呼べるはずもなかった。
感想
感想はありません。