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殺し合いごっこ‐LAST CHAPTER‐27

[609]  龍角  2007-08-03投稿
同時刻

横浜の本部。

コンコン…
「失礼します。」
ドアの向こうからは隼の声が聞こえて来た。

「隼か。入れ。」
神谷がそう言うと隼は何やら思い詰めた表情で局長室へと入って来た。
「あれだけ申したのに…
何故勇くんを佳奈美さんと一緒にさせたのですか…?」

「なんだ?
何か文句でもあるのか?
鬼神にお前のお気に入りが独り占めされて満足か?」
「からかうのは止めて下さい。
こっちは真剣なんです。
何故佳奈美さんと同じ香りがする勇くんを一緒にさせたのですか?
下手をしたら麗奈と同じ様に覚醒して体を乗っ取られますよ!?
それに勇くんも鬼人どころか…『分神』になりかねません…」

「言いたい事はそれだけか?」

神谷は隼の言い分をまるで軽く流した様に言った。

「局長…あなたまさか最初からそのつもりで…」

「佳奈美には覚醒して貰わなければ摩羅や憐華には対抗できん。
それに勇もそうだ。
摩羅の鬼人、そして分神になるであろう原田敬。そして憐華の右腕的な存在である原田誠に対抗させる為だ。 現時点で奴等と互角に1対1で戦えるのは俺と隼、英島、兵戸、ヘレナの5人だけだ。」

「確かに戦力が必要なのは分かってます…
でも彼等は体はオニでも心は人間なんですよ?
彼等は兵器では無いのですから…」
「俺達は生物兵器も同然だ。
政府が手に負えない化け物であるオニを俺達オニの手によって滅ぼす…夷をもって夷を制す…所詮は俺達は政府の駒でしか無い。 それでも俺が奴等に従うのは反抗すれば社会的な居場所が無くなる事… そして報酬…
そして何より復讐の為だ。
政府に対する忠誠心など俺には無い…」

神谷の目はふつふつと沸き起こる怒りと憎しみで紅くなっていた。

「話が長くなってすまない…
他に話は?」

「いえ。
ありません。」

「そうか…
ならもう行け。」
「はい…」

隼がドアを閉めて部屋を後にすると彼は机の片隅に置いてある写真立てをじっと見つめていた。

『沙奈…竜一…』

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